大山 鮎川から周回

 山ぽ会月例山行の下見に参加。まだあまり知られていない鮎川からのルートを使いました。鮎川上流部は今まで訪れた渥美半島の山の中でも最も自然豊かな場所だと感じました。渥美自然の会が1994年に作成した「レッドデータ渥美」(http://www.amitaj.or.jp/~irago-o/rdbatumi.htm)にも植物群落等の項目に「越戸大山原生林」などとともに「鮎川上流のウバメガシ林」が選ばれています。ここのウバメガシ群落は大きな個体が多くあるとのことです。確かに鮎川源流部には多くのウバメガシを見ることができました。ただ、私はそれだけでなく、ウバメガシ群落よりも少し標高の低いところに生えるタイミンタチバナやコナラなど多種の樹木が混生していることに目を奪われました。
 道標は無く、踏み跡の薄い箇所もありますので、ご注意ください。
【山 名】大山(越戸の大山、高根山、高嶺山)(おおやま、おっとのおおやま) 327.9m (渥美半島最高峰)
【三角点】一等 327.91m 点名:大山(おおやま) 明治13年12月28日選点、明治18年10月13日埋標
      所在地:愛知県田原市大字和地字北山6番地
     四等 235.46m 点名:北山(きたやま) 昭和37年9月11日選点、昭和37年10月2日設置、平成15年9月10日改測
      所在地:愛知県田原市大字和地字北山5番地45
【山 域】渥美 三河湾国定公園・渥美半島県立自然公園
【水 系】鮎川水系他
【所在地】愛知県田原市(たはらし)和地町(わじちょう)猿岩(さるいわ)・北山(きたやま)・
     東ノ谷(ひがしのや)・谷ノ田(やのた)・上大道(かみおおみち)・北屋敷(きたやしき)・
     瀬戸山(せどやま)・波治神(はじかみ)・野丹場(のたんば)・鮎川(あゆかわ)・椿沢(つばきざわ)・
     越戸町(おっとちょう)古今(こいま)・若見町(わかみちょう)鬼堕(きおとし)・
     伊川津町(いかわづちょう)椛(なぐさ)・山田町(やまだちょう)郷戸(ごうど)
【山行日】2008年1月14日(月曜日・成人の日)
【行  程】あつみ大山トンネル南口付近から周回
  豊川 ==== あつみ大山トンネル南口付近 ---- 縦走路に出る ---- 梔岩 ---- 大山 ---- 鮎川分岐 --
  8:05                           9:26        10:12            10:20  10:31-10:41   10:50
  -- 椛分岐 ---- 臍岩分岐 ---- 清田池分岐 ---- 長沢分岐 ---- 四等三角点 ---- サシバ峠 --
     10:53     11:14-11:21      11:27        11:43-11:49      12:02         12:04-12:08
  -- 花の村分岐 ---- 道路に出る ---- レストハウス横(昼食)---- あつみ大山トンネル南口付近 ==== 豊川
      12:14           12:32                       -13:13         14:12                         15:51
【所要時間】4時間46分
【人  数】4人(男2、女2)
【標高差】約315m
【天  候】晴 風あり 2℃(自宅出発時)、5℃(長沢分岐)、7℃(帰宅時)
     1月14日伊良湖の気象庁データ:平均気温4.2℃、最高気温7.4℃、最低気温2.1℃、平均湿度44%、
     平均風速6.6m/s、最大風速10.2m/s、最大瞬間風速15.1m/s、最大風速時の風向:北北西
【地形図】1:25,000 野田(のだ) 平成13年修正測量
【スタイル】皮登山靴zamberlanフジヤマ、厚手ショートソックス+薄手ショートソックス、眼鏡、
 MILLETアタックザック、PHENIX化繊ズボン(中国製)、腕時計(CASIO TWIN SENSOR)、緑色軍手(最初のみ)、
 綿55% ポリエステル30% レーヨン15%トランクス(中国製)、
 アクリル70% 毛25% カシミヤ5%長袖チェックシャツ(日本製)、
 mont-bellポリエステル100%(ウイックロン)半袖Tシャツ(日本製)、
 TARAS BOULBA(アシックス)POLARTEC(ポリエステル100%)SERIES200フリース、
 デジタルカメラ:MINOLTA DiMAGE7(首に下げて歩く)
【所持飲料】お湯 テルモス470ml(お茶、コーヒーとして飲む)、アクエリアス ビタミンガード500ml(飲まず)、
 KIRIN 生茶 500ml(飲まず)、森永製菓 ウイダーinゼリー マルチミネラルイン180g(amazon.co.jp(飲まず)
 Sさんに誘われての参加です。朝起きると今にも雨の降り出しそうな曇り空。しかし、アプローチ途中で西の空を見ると青空。これなら大丈夫そう。今日は月曜の祝日。トヨタは出勤日だろうか、道路は混んでいるだろうかと心配しましたが、Aさんに後で聞くと、成人の日はトヨタも休日なのだそうである。田原市内で集合し、Sさんの車で出発。

 前日に一人で通った新しい道を進み、1230mあるという大山の下をくぐる「あつみ大山トンネル」を初めて通って登山口へ。登山口の表示はありません。代わりに、「この奥ワナ仕掛中 立入禁止 地主」の表示があります。ちょっと躊躇しますが、中に入ってみると、しっかりした踏み跡があります。これなら少なくともワナに掛かる心配はなさそうです。



あつみ大山トンネル南口

 沢沿いの踏み跡沿いにはツワブキの葉が目立ちます。少し行くと石垣がありました。その先にも別の石垣。どうやら田んぼがあったようです。水のあまりない渥美半島で、この鮎川沿いなら豊富な水があります。渥美半島と田んぼはミスマッチな感じがしますが、ここなら大丈夫だったのでしょう。



石垣

 そして柑橘類の大木もありました。だいぶ前に鳥が種を落として芽が出て育ったのでしょうか。沢沿いだから水分も適度に補給されたのでしょう。ただ、大きな果実はかなり高い位置に生っていて、果実を口にするには落ちたものにするしかありません。

 イノシシのヌタ場らしきものもあります。そしてあちこちのシダなどの葉に泥が付いています。話にも聞きましたが、どうやら放したイノシシが増加しているようです。入口にあった「ワナ」の表示も納得です。生えている樹木は種類が多く、ところどころには名前の表示もあります。

 沢の上部に行くと踏み跡は薄くなりますが、目印が多く迷うことはありません。そして大山と雨乞山を結ぶ稜線に出ました。ここは、雨乞山〜大山を縦走したときに通ったルートですが、6年前のことで見覚えはありません。カクレミノの果実がたくさん落ちていました。



カクレミノとアカマツがくっついて生えていました

 大山への途中には、「梔岩」という場所があります。ここからの展望は優れています。名の由来は岩の上にクチナシが生えているからだそうです。昨日は渥美半島から南アルプスなど、雪化粧した山がはっきり見えましたが、今日は残念ながら見えません。



梔岩(くちなしいわ)とクチナシ



梔岩から渥美火力発電所を隔てて島々と知多半島を見る



梔岩からタコウド(左)、ミハリ山(中央)、雨乞山(右)を見る



梔岩から東方(赤羽根方面)を見る
右端はたぶん尾村山 左後方には藤尾山や衣笠山も 遠方は弓張山脈

 大山の山頂の一角に出ると、「国有地につき立入禁止 豊川駐屯地業務隊長」と書かれた表示と虎ロープが張ってありました。3級基準点もありました。以前は古い無線中継所がありましたが、今は更地になっています。陸上自衛隊のヘリコプター離着陸訓練場にすることになっていたと思いますが、ここのことでしょうか。反対運動や2005年の三重での墜落事故もあってか、訓練は行われていないようです。

 一等三角点は白山比盗_社(しらやまひめじんじゃ)への下り口手前を右に折れたところ。さらに先には「愛知県大山無線中継所」などがあり、その脇からは伊良湖方面が見通せます。神島や志摩半島も見えます。風が強いし、昼食にはまだ早いので、休憩せず、来た道を戻ることにします。



大山一等三角点



山頂にあるアンテナ群



虎ロープで囲われた更地脇を通る

 登ってきた分岐を過ぎて尾根を進み、まだ通ったことのない椛への下り口分岐を過ぎ、250mピークの分岐に出ます。ここにも岩があり、「臍岩」(へそいわ)と言うようです。大山山塊のへそにあたる場所にある岩というような意味でしょうか。上に登るとここにもクチナシが生えていました。こちらのクチナシには実がいくつもついていて、それがすぐにクチナシだとわかります。



椛分岐



臍岩から大山を見上げる



臍岩から鮎川流域を見下ろす

 この先は、初めて歩くルートです。その方向へは、「清田池 立花口」と表示されていました。そして少し先には表示の方へ下る分岐がありました。私たちはその方向ではなく、尾根をさらに進みます。



臍岩分岐



清田池分岐から長沢分岐への尾根 足元にはコシダが目立つ

 長沢分岐という尾根の分岐で休憩します。分岐といっても北西方面への尾根には入らないようになっています。ここから南に向きを変えます。表示ではこちらも通行禁止になっていますが。



長沢分岐

 途中の四等三角点「北山」は踏み跡から少し右に入ったところにあります。そしてその少し先が「サシバ峠」と呼ばれているところのようです。分岐になっていて、右へ下ると「渥美花の村」があった場所に下れるようです。平成13年修正測量の地形図には破線も描かれています。「渥美花の村」は2004年3月に閉鎖され、同年6月に「はづリゾート渥美」となりましたが、現在は閉鎖中になっています。



北山四等三角点



サシバ峠

 この分岐で下らず、もう少し行くと展望の良い開けた場所に出ます。昼食をとるには絶好の場所ですが、今回は下ってからにします。さらに下るとそこにも旧「花の村」方面への下るルートがあります。真っ直ぐ行けば和地小学校方面ですが、今日はここを右に折れます。



サシバ峠付近の展望地から大山方面を見る



サシバ峠付近の展望地から伊良湖方面を見る

 閑散とした旧「花の村」に下りると案内板がありました。今下りてきた道は「汐見の小道」と言っていたようです。レストハウス脇で昼食をとります。その後は道路を歩いて入山場所に戻りました。昨日訪れた伊良湖方面では満開の菜の花を見ることができましたが、和地の菜の花畑が満開になるのはまだ先のようです。



旧「花の村」のレストハウス



国道42号線を歩く



和地から大山を見上げる

 鮎川沿いの道路に入り、少し進むと川の脇にも未舗装の道路があり、そこに入りました。途中には大きな鮎川堰堤があります。「昭三九」の文字が見えます。鮎川には以前はアユがいたと聞きましたが、2008年1月20日の朝日新聞投稿欄には、今でも堰堤前にアユがいるのだと書かれていました。



鮎川沿いの立派な道路を登る



鮎川堰堤上

 見かけた植物
 クチナシ(果実)、ツルグミ(果実)、ツワブキ(残花)、カクレミノ(果実)、カゴノキ、アリドオシ(果実)、ネズミモチ(葉)、テイカカズラ(葉)、スギ、ショウジョウバカマ(葉)、ヤブツバキ(花)、マメヅタ(葉)、タイミンタチバナ(葉)、リョウブ、サルトリイバラ、アセビ、コナラ、ヒサカキ、アカマツ、ヤブコウジ、ヒトツバ、ウバメガシ、モチツツジ(花)、ソヨゴ、イヌツゲ、コシダ、ウラジロ、コウヤボウキ、ミヤマシキミ、ヤツデ、トベラ、イヌビワ、コシロノセンダングサ(花)、センダン(果実)、キダチアロエ(花)


 【大山が紹介されている書籍等】

『ワンデルングガイド10愛知県の山』(岳洋社)平成4年6月13日2版発行
  越戸バス停からのコースが紹介されています。山頂北の尾根道の紹介もあります。

『三遠信の山歩き』(風媒社)1998年7月5日第1刷
  大山下バス停からのコースが紹介されています。誤記1箇所あり。

『やぶ医者のやぶ山あるき 三河の山々』(毎日新聞名古屋開発)2000年5月発行
  白山比盗_社からのコースが紹介されています。3枚のカラー写真あり。

『こんなに楽しい愛知の130山』(風媒社)1999年10月8日第1刷
  大山下バス停からのコースが紹介されています。

『こんなに楽しい愛知の100山』(風媒社)1991年5月1日改訂第1刷
  大山下バス停からのコースが紹介されています。

『分県登山ガイド22 愛知県の山』(山と溪谷社)1995年9月25日初版第1刷
  越戸バス停からのコースが紹介されています。4枚のカラー写真あり。誤記2箇所あり。

『朝日新聞』2005年10月26日愛知総合版「この人に聞きたい」
  陸上自衛隊ヘリコプター離着陸訓練場について大羽さんにインタビューした記事が載っています。

『'96アウトドアData3800東海版』(風媒社)1995年11月20日初版第一刷発行
  「山岳」の項で「大山」、「森と雑木林」の項で「越戸大山のカゴノキ林」が紹介されています。

『コンサイス日本山名辞典修訂版』(三省堂)1989年9月1日第6刷
  「古生層の地塊よりなる。」などの記述があります。

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