富士見岩 長彦から蛇穴へ

 もうすぐ79歳になるSさんからお誘いの電話があり、今回のコースを予定しましたが、3月20日の春分の日が雨で延期になり、今回、私から電話し、この日に行くことになりました。他にもお誘いした人はいましたが、都合がつかず、結局Sさんと二人になりました。Sさんとは、9ヶ月前の富幕山以来です。
【行き先】富士見岩
【三角点】点名:長彦峠 四等 372.5m
     点名:本坂峠 四等 426.9m
【山 域】弓張山地(弓張山脈、湖西(こさい)連峰、八名(やな)山地) 石巻山多米県立自然公園
【水 系】豊川水系、今川水系、西神田川水系、日比沢川水系
【所在地】愛知県豊橋市嵩山町立岩・神畑・静岡県湖西市大知波・浜松市北区三ヶ日町上尾奈・本坂
【山行日】2008年4月5日(土曜日)
【行  程】長彦から嵩山(すせ)へ
  豊川 ==(17.2km)== 嵩山 ==(2.8km)== 十輪寺 ---- 御用岩 ---- 送電線鉄塔 ---- 大知波峠(長彦峠)--
  8:20              9:01            9:09-9:10  9:59-10:03     10:07             10:18-10:37
  -- 長彦峠三角点 ---- 富士見岩 ---- 本坂峠三角点 ---- 長彦分岐 ---- 頭浅間 ---- 下り口 --
       10:46         11:06-11:43       11:59            12:02        12:15        12:23
  -- 蛇穴分岐 ---- 蛇穴 ---- 嵩山(車デポ地)==== 十輪寺 ==== 豊川(合計走行距離:37.4km)
      12:43                   13:33               -13:43      14:58
【所要時間】4時間23分(休憩を含む)
【標高差】約345m
【人  数】2人
【天  候】晴 13℃(自宅出発時)、15℃(登山開始時)、20℃(長彦峠)、21℃(帰宅時)
     4月5日豊橋の気象庁データ:平均気温13.1℃、最高気温18.8℃、
      平均風速4.4m/s、最大風速8m/s、最大風速時の風向:西北西、最多風向:西南西
【地形図】1:25,000 豊橋(とよはし) 昭和62年修正測量
【スタイル】ミズノ ウォーキングシューズ "FREEWALK"、ショートソックス、眼鏡、ウェストバッグ、
 MILLETザック、mont bellズボン(中国製 ナイロン100%)、腕時計(CASIO TWIN SENSOR)、
 綿55%・ポリエステル30%・レーヨン15%トランクス(中国製)、長袖シャツ、
 綿100%水色半袖Tシャツ(Fabric Made In USA、Assembled In Honduras)、
 デジタルカメラ:MINOLTA DiMAGE7(首に下げて歩く)
【所持飲料】お湯(テルモス470ml)(飲まず)、KIRIN生茶玉露入り500ml(約200ml飲む)、
      C1000レモンウォーター500ml(約100ml飲む)
 天気予報は問題なし。ただヒノキ花粉が猛威をふるっているようで、それはあきらめるしかない。一応、鼻腔クリーム(amazon.co.jp)を塗ってから出発。

 サークルKに寄ってから待ち合わせ場所の嵩山へ向かいます。9時の待ち合わせに対して1分遅れで到着。既にSさんは待っていました。今日は、車2台あるので、1台をここにデポし、もう1台で長彦へ向かいます。早速、私の車で、出発します。長彦の地名は、昭和62年修正測量の2.5万図には載っていますが、平成13年修正測量の2.5万図には載っていません。どうやら「嵩山町」などの町名だけで、それ以降の字名などの表示はなくしたようです。

 長彦からは豊橋自然歩道の支線である長彦自然歩道(大知波道)が2002年に整備されています(参考:豊橋自然歩道)。駐車場は、道標に従い臨済宗十輪寺に導かれます。直前に1台が駐車しましたが、お寺の関係者のようです。他に駐車車両はありません。十輪寺は、1376年には開山したという歴史あるお寺のようです。



十輪寺

 登山口まではわずか。途中には案内板もあります。道端にはキュウリグサやヒメオドリコソウなどが咲いています。登山道に入り、少し進むと小沢を横断します。沢の大きさに比べ、水量はそこそこあると感じました。



十輪寺付近にある道標

 自然歩道になっているだけあって、迷うようなことはありません。途中で、御用岩への分岐があり、寄って行きます。岩に出ると、展望が広がります。山肌は3箇所が削り取られています。嵩山鉱山、三嶽鉱山、長楽鉱山です。この辺りは良質な石灰が採れるのでしょう。ミツバツツジも咲いています。足元にはヒトツバが生えています。近くにはテーダマツも生えています。御用岩の名は、山伏が村人に用事があるときに岩に立って「御用、御用」と呼んだことに由来するのだそうです。



御用岩



長彦方面 嵩山鉱山(右)、三嶽鉱山(左)、長楽鉱山(中) 右後方は本宮山

 御用岩から戻る道は送電線鉄塔経由になります。ただこれも尾根上ではなく、巻き道となり、登ってきた道の先で合流します。その先には「長彦峠のマンサク」があります。嵩山三名大木の一つのようで、1つの根元から数本の幹が延びています。残念ながら花はとっくに終わっています。

 そして明るい大知波峠に出ます。大知波は遠州側の集落名で、三河側での呼称が大知波峠。「大知波へ通じる峠」、ということです。三河側の集落名である長彦から、遠州側では長彦峠と呼んでいました。伊那地方で、木曽側の山を木曽駒ヶ岳、甲斐側にある山を甲斐駒ヶ岳と言うのと同じですね。

 峠は廃寺跡でもあります。平安時代にお寺があったようですが、現在ではその名もわかっていないそうです。正確には奈良時代に始まり、15世紀後半には山林と化していたようです。遠州側に、礎石や石垣がありますが、これらは当時のままなのでしょうか。それともある程度復元されたものなのでしょうか。少なくとも草は刈られているようです。湧き水もあるようで、池があり、金魚が泳いでいました。水溜りにはオタマジャクシがたくさんいました。

 廃寺跡の正式名称は、「大知波峠廃寺跡(おおちばとうげはいじあと)」と言うようです。この廃寺が公になったのは、意外と新しく1980年とのこと。お寺の名称も不明なほど伝承がないのです。

 そして峠には御料局標石も埋まっています。下の方は埋まっていますが、「御料」や「遠」などの文字が読み取れます(参考:宮標石倶楽部)。峠から遠州側は豊川道自然歩道となっています。



大知波峠の遠州側には廃寺の礎石らしき石が並んでいます



石垣もあります



池もあります



下部には岩場もあります



峠付近から浜名湖・浜松方面を見下ろす



峠にある御料局標石

 稜線上は、豊橋自然歩道の本線でもあり、訪れる人も多いようです。我々は富士見岩へ向かいます。少し登ると平らな場所に出ます。何もありませんが、どうやら林道の終点のようです。昭和62年修正測量の2.5万図には道路すら載っていませんが、平成13年修正測量の2.5万図には、道路とアンテナマークがあります。そのアンテナも今はもうなくなったようです。三角点もこの辺りにあるのでは、と少し探しましたが、それはもう少し先にありました。



アンテナ施設跡地



四等三角点「長彦峠」

 稜線上には宮境界標石が並んでいますが、新しいコンクリート製のもの、明治時代の石製のもの、そして自然石に刻印されたものなどがあります。

 そして富士見岩に到着。私は初めて訪れました。昔からあるであろう大きな岩と巨大な送電線鉄塔の対比が、太古と現代の同居のような不思議な雰囲気を醸し出しています。岩の上に上がり、展望を楽しみます。富士山は見えませんが、南アルプスが白く見えました。また、浜名湖や浜松のアクトタワーもよく見えます。本宮山も見えます。県境稜線から右側にはみ出たように見えるアンテナのある山は富幕山でしょう。



富士見岩と送電線



富士見岩と送電線鉄塔



富士見岩の上には×刻印があります



富士見岩を見上げる



富士見岩は2つに割れている

 11時ですが、昼食にしようとザックを下ろします。すると強い風が吹いてきました。ちょっと移動しようかとも思いましたが、風もほどなくおさまり、岩の脇に腰を下ろしました。私はコンビニおにぎり2個とゆで卵1個を食べます。Sさんは、菓子パンのようです。しばらくは山の話をしながらのんびりします。その間にも他の登山者がやってきて、岩の上や下で休憩しています。

 さてここからは直進方向ではなく左へ曲がります。そして一旦下り、登り返した先の右手に今日、2つめの三角点がありました。いずれも四等三角点で、点名は、先ほどのが「長彦峠」。今回が「本坂峠」です。いずれも峠からは少し離れています。そして、この場所あたりが今日の最高地点です。



四等三角点「本坂峠」

 少し下ると長彦への分岐があります。中部電力の送電線表示「東海鉄道ニ川線」の杭に「長彦へ」と書かれた木製の看板が控え目につけられていました。Sさんは、最近、この辺りをよく歩いているようで、この道も歩いたそうです。しかし今日は、蛇穴へ下ります。



長彦分岐点



富幕山方面を見る



鉄塔脇 標高370m地点から坊ヶ峰を見上げる



宮境界標石「界癸七九」

 まずは分岐の少し先にある頭浅間(大山社)に寄ります。祭神は大山祇命(おおやまずみのみこと)で、頭の病に霊験あらたかだと記されています。「奉納 浅間神社」と書かれた幟もたくさんあります。瓦の模様は桜の花になっています。ここから下る方向には、腹浅間(原川社)、足浅間(富士社)もあるようです。



頭浅間鳥居と幟



頭浅間

 稜線から下る分岐は二つあり、一つは道標も完備した嵩山自然歩道となっています。もう一つは何の表示もありませんが、手すり代わりかロープがついています。今日は、その何も表示のない方を下ります。すぐ横には嵩山自然歩道が並走していますが、合流はせず、逆にそのうち離れていきます。そして基本的には尾根に沿って下っていきます。この尾根は『'96アウトドアData3800東海版』では、「浅間尾根」と書かれています。送電線鉄塔もあり、巡視路が分岐しているようです。左に下っていく巡視路の分岐もあります。そしてその後、嵩山自然歩道に合流します。その自然歩道も分岐しているようです。しばらく下ると蛇穴への分岐になります。



何と書かれてあるかわからないこの標石もいくつか見かけました



蛇穴への分岐点

 蛇穴方面へ進むと、踏み跡はあるものの、多少歩きづらい巻き道のようになるところもあります。もうここは自然歩道ではないだろうと思ったら、しっかり「嵩山自然歩道」の表示がありました。石灰岩の特徴的な岩もいくつか見られます。そして、踏み跡から少しそれたところに、意味不明の横穴を見つけました。炭焼き窯のようにも見えません。石灰岩の石積みで、綺麗に形どられています。以前は石仏でも祀ってあったのでしょうか。今は何もありません。



石灰岩



謎の横穴



横穴を正面から覗く

 もう少し下ると国指定史跡である蛇穴です。石灰岩洞窟(鍾乳洞)で縄文時代に住居として使用され、土器なども発見されています。ここは以前に一度だけ訪れたことがあります。ただ奥まで入ったことはありません。ここには「とよはしの巨木・名木100選」に選ばれている「嵩山蛇穴のバクチノキ」もあります。道路に降り立ち、少し上流方向に進むと、石灰岩から湧き出る水場もありました。これは「水穴」と呼ばれているようです。



嵩山蛇穴(すせじゃあな)



嵩山蛇穴入口



嵩山蛇穴を覗く

 見かけた花
 オドリコソウ、ヒメオドリコソウ、ウマノアシガタ、ミツバツチグリ、ヤマネコノメソウ?、ヤマアイ、スルガテンナンショウ、キュウリグサ、アリアケスミレ、ノジスミレ、タチツボスミレ、ヒメウズ、ジロボウエンゴサク、ホトケノザ、キランソウ、トウカイタンポポ、タネツケバナ、カタバミ、オオジシバリ、フキ、ナズナ、タネツケバナ?、スズメノヤリ、クサイチゴ、コクサギ、ミツバツツジ、ヤマザクラ、キブシ、ミヤマシキミ、アオキ、ヤブツバキ


【富士見岩・大知波峠が紹介されている書籍等】

『こんなに楽しい愛知の130山』(風媒社)1999年10月8日第1刷
  130山のうち121番目の山として富士見岩が紹介されています。

『日本の遺跡22 大知波峠廃寺跡 三河・遠江の古代山林寺院』(同成社)2007年6月1日発行
  200ページ近くあり、かなり詳しい内容となっています。

『ワンデルングガイド10愛知県の山』(岳洋社)平成4年6月13日2版発行
  神石山の項で、本坂峠から二川駅までのルートが紹介されています。岩は「富士見台」と書かれています。

『分県登山ガイド22 愛知県の山』(山と溪谷社)1995年9月25日初版第1刷
  石巻山から坊ヶ峰へのコースが紹介されており、富士見岩の記述もあります。

『こんなに楽しい愛知の100山』(風媒社)1991年5月1日改訂第1刷
  坊ヶ峰の項で石巻山へのルートが紹介されていますが、富士見岩の文字は見あたりません。

『三河・遠州の超(スーパー)低山ハイキング』(風媒社)2002年5月12日第1刷発行
  遠州側からの大知波峠が紹介されています。

『'96アウトドアData3800東海版』(風媒社)1995年11月20日初版第一刷発行
  豊橋自然歩道本線、嵩山自然歩道支線、嵩山のバクチノキ自生地、水穴、嵩山の蛇穴の項があります。

『湖西連峰ハイキングコース 豊橋自然歩道 ガイドマップ』(湖西市・三ヶ日町 豊橋自然歩道推進協議会)
  少し古い資料のため長彦自然歩道は載っていません。「廃寺跡」、「嵩山の蛇穴」の紹介はあります。

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