鳳来寺山 三河大野駅から

 鳳来寺山へはいくつかのルートから登っていますが、三河大野駅からの東海自然歩道はまだ歩いていませんでした。そこで今回はこの時期の鳳来寺山にはどんな花が咲いているだろうという興味も持って登ることにしました。
【山 名】鳳来寺山(桐生山・霧生山・烟巖山) 瑠璃山 695m
    (「烟巖山」の名称は『愛知県地誌 東三河ノ部 壱』(南設楽郡長篠学校 明治34年発行)より)
【三角点】三等 684.18m 点名:瑠璃山 所在地:愛知県南設楽郡鳳来町大字門谷字鳳来山8番
【山 域】奥三河(設楽山地) 天竜奥三河国定公園
【所在地】愛知県南設楽郡鳳来町
【山行日】2005年5月15日(日曜日)
【行 程】JR三河大野駅から東海自然歩道利用
  豊川 ==(36.8km)== 三河大野駅 ---- 林道入口 ---- 十六丁(登山道取付)--
                          8:48       8:55          9:29
  -- 鳳来寺山歩道橋 ---- 行者越岩場終点 ---- 舗装道 ---- 東照宮 ---- 鷹打場分岐 --
      9:56               10:04 - 10:14       10:42       10:47        11:07
  -- 鷹打場 ---- 巫女石・高座石プレート ---- 天狗岩 ---- 鳳来寺山 ---- 瑠璃岩 --
  11:11-11:22     11:32                      -11:50       12:07      12:14-12:40
  -- 鳳来寺山 ---- 奥之院 ---- 鳳来寺 ---- 行者越歩道橋 ---- 湯谷峠 ---- 林道 --
      12:45        12:53       13:16-       14:01            14:13       14:35
  -- 林道入口 ---- 三河大野駅 ==== 湯谷温泉 ==== 豊川
      15:19         15:28
【所要時間】6時間40分(含休憩)
【天 候】曇時々小雨のち晴 18℃(行者越岩場終点、瑠璃岩にて)
     (5月15日新城の気象庁データ:平均気温18.4℃、最高気温23.4℃、最低気温13.9℃、
      平均風速2.1m/s、最大風速6m/s、最大風速の風向:南西、日照時間3.7h)
【使用地形図】1:25,000 三河大野(みかわおおの)  平成11年部分修正測量
【スタイル】ジャージズボン、綿100%Tシャツ、ミズノ運動靴、MILLETザック、タオル、
      デジタルカメラ:MINOLTA DiMAGE7(首に下げて歩く)
 駐車場所が不安だった。でもまず行ってみる。すると引地集落から左へ東海自然歩道の林道へ曲がるところは狭く、入りづらい雰囲気がある。そこで近くを探していると公民館か何かのところで地元の人たちがいた。そこで聞いてみると、ちょっと戻ったところにスペースがあるが、誰の土地かは知らないという。そこへ行ってみる。とめられそうな感じであると判断し、車をとめて準備をしていると、通りがかりの人がここにとめてはいけないという。駅にとめてくれという。腑に落ちないところはあるものの地元の人に言われればそれに従わないわけにはいかない。

 三河大野駅に行くと他に車は1台。準備をしていた。彼らとは前後しながら登ることになる。たまに車が通る車道を歩き、踏切を渡り、引地の集落から左へ。林道は狭くやはり車で入らなくてよかったと思った。しかも車1台見かけなかった(下山時、地元の畑作業か何かの車を1台見た)。



出発点となったJR飯田線三河大野駅。

 林道沿いには石垣が多く、昔は田んぼだったんだろうな、と思われる平らな土地には成長した杉が植わっていた。

 林道から登山道に入り、標高を稼ぐ。湯谷峠には同じ駅から出発した二人が休憩していた。ここから先は以前に会社の同期と二人で歩いたルートである。鳳来寺山パークウェイを跨ぐ歩道橋を2回渡ると行者越えの取り付きである。登山道からそれ、その行者越の岩場を登る。ホールド、スタンスはしっかりしていて不安はないが、岩場に慣れない人は緊張するかもしれない。この岩場を登りきり、登山道と合流したところのベンチで休憩。登山道を登ってきた先ほどの二人が前に出る。



1本目の鳳来寺山歩道橋を渡る。



広重も版画に残したという行者越の岩場は何体もの石仏(十六羅漢)が岩と一体化している。

 左下に鳳来寺山パークウェイの駐車場の喧騒を耳にしながらしばらく歩き、古そうなお墓に寄り道し、歩道に下りる。駐車場からの観光客が多い。小雨がぱらつく。



鳳来寺の高僧のものらしき墓地はひっそりと存在する。

 日本三東照宮の一つに数えることもある国指定重要文化財、鳳来山東照宮で手を合わせてから、建物の脇を通り上へ。ちなみに他の二つの東照宮は日光と静岡県の久能山だが、三番目の東照宮には、川越の仙波東照宮を数えることもあるらしい。鳳来山東照宮は三代将軍徳川家光が建立を命じ、1651年、四代将軍家綱のとき完成したといいます。新しく見えるのは2002年2月〜2003年、1年半かけて28年ぶりの修繕を行ったからです。江戸時代初期と同じ技法で、主に桧皮葺(ひわだぶき)屋根の葺き替えと壁の漆塗りを約2億2千万円かけて行った。そのうち8割は文化庁からの補助で、残りは愛知県と鳳来町の文化財保存事業費そして参拝者の浄財だとのことです。それまでは屋根には苔が生え雨漏りもしていたり、壁の色ははげ落ちていたそうです。東照宮は家康を神として祀った神社で全国に500ほどあるそうです(「鳳来寺山ハイキングマップ」(鳳来町観光協会)、「朝日新聞」(2003.9.6)等参照)。

 また二人の前に出る。次のポイントは鷹打場である。登山道から右折しその岩場に出る。絶景である。鳳来寺山の中で最も開放感のある場所ではないだろうか。このあたりからちらほらホソバシャクナゲの花が目につくようになる。残念ながら群落というほどの規模はない。



東照宮



鷹打場

 また途中で二人に会う。どうやら鷹打場には寄らずその間に前に出たようだ。また先に行くがその後会わなかった。天狗岩という場所には東屋があり、何人かが休憩していたが、鷹打場ほどの開放感は持てなかった。



天狗岩の東屋。ここからは門谷の集落が見下ろせる。

 最後の一登り後、三角点ピークに着くが、意外に誰もいない。たまたまだろうが、あまり天気が良くないのもあるのか、少し時間が早いのもあるのだろうか、と考えてしまう。ここでは休憩せず、瑠璃岩へ。そこで昼食とする。湿度は高いが曇天で気温はそれほど高くない。長袖シャツを着る。途中の岩の上に一人いたが、他には誰もいない。



鳳来寺山の三角点ピーク。石柱はかなり露出している。

 三角点ピークに戻ると今度は人が何人かいた。そして鳳来寺方面へ下る。奥之院の岩場にも人がいた。外国人のペアもいた。今日会った外国人のペアは二組目である。鳳来寺山はそれなりに名が知れているのだろうか。

 鳳来寺は703年、利修仙人によって開かれた真言宗の古刹である。徳川家康の父広忠(ひろただ)が於大(おだい)の方とともに本尊峯薬師如来に祈願して家康が生まれたという伝えがあり、これを徳川家光が『日光東照宮御縁起』を見て知ったことにより、鳳来山東照宮建築の運びとなったということである。



鳳来寺奥之院は地味。



勝岳(しょうがく)不動付近の地蔵。



鳳来寺。この建物が古くて一番立派に見える。



石段の途中にあるお堂。かなり古びた感じである。整備されていない感じだが、これも檀家を持たないお寺の苦しさの表れなのか。



鳳来寺本堂。味がないが、これは大正3年火災に遭い、仮本堂の後、昭和49年11月に耐火建築で竣工したからだろうか。

 東照宮の下を過ぎて歩道から登山道に入ると静かになる。今度は先ほど会った外国人ペアと前後しながらの下山となるが、二つ目の歩道橋のあたりで見かけてからは会わなくなった。他には下の方で単独の男性と会う。湯谷温泉からのルートを登り、下りは東海自然歩道にとったという。

 途中、椿地蔵というものがあった。登りでは気づかなかった。「菅沼三右衛門定圓(さだまる)の墓」とある。野田城主菅沼定村の弟で、1556年、菅沼一族は今川、織田両方に分かれて布里で戦い、織田方の定圓は敗れて、ここ椿坂で29歳にして討死したのだという。平成2年に子孫と思われる方によって建立された石の説明板が新しい。

 駅に戻り、湯谷温泉へ。R151を北上していくと、下りで見かけた外国人ペアが歩いていた。どうやら湯谷温泉へ下るルートをとったようだ。三河大野方面へ歩いていたが、その後どこまで歩いていったかはわからない。

 見かけた花
 ウマノアシガタ、マルバウツギ、ムラサキサギゴケ?、カキドオシ、ヘビイチゴ、オオジシバリ?、ハルジオン、スルガテンナンショウ、キンラン(蕾)、ヤマネコノメソウ、ガクウツギ、タネツケバナ、シャガ、アギスミレ、タニウツギ、モチツツジ、ギンリョウソウ、クサイチゴ、タチツボスミレ、コアブラツツジホソバシャクナゲ、クロバイ、タカノツメ(実)ホソバコツクバネウツギ、カイナンサラサドウダン?(植栽?)、ヒメレンゲ?、ヒメハギ、コバノガマズミ?、ハハコグサホソバオオアリドオシ

 【鳳来寺山が紹介されている本】
『名古屋近郊いで湯の山旅』(七賢出版)1995年11月7日第1刷発行
  三河大野から湯谷温泉へのルートが紹介されています。湯谷温泉の案内もあります。
  こちらで購入できます→amazon.co.jp『名古屋近郊いで湯の山旅』 楽天ブックス『名古屋近郊いで湯の山旅』

『名古屋周辺 続 山旅徹底ガイド 裏木曽/東濃/奥三河』(中日新聞本社)1996年3月6日発行
  表参道および三河大野からのルートが紹介されています。行者越の岩場推薦の言葉もある。

『三遠信の山歩き』(風媒社)1998年7月5日第1刷
  三河大野駅から鷹打場経由表参道へのルートが紹介されています。表紙カバー写真は鷹打場。

『東海自然歩道日帰りハイキング2奥三河−鈴鹿峠』(山と溪谷社)1996年4月20日初版第1刷発行
  三河大野駅から鷹打場経由表参道へのルートが紹介されています。

『こんなに楽しい愛知の130山』(風媒社)1999年10月8日第1刷
  表参道から鷹打場経由三河大野駅へのルートが紹介されています。

『こんなに楽しい愛知の100山』(風媒社)1991年5月1日改訂第1刷
  三河大野駅から鷹打場経由表参道へのルートが紹介されています。

『アルペンガイド13名古屋周辺ワンデイ・ハイク』(山と溪谷社)1985年3月発行
  表参道から鷹打場経由三河大野へのルートが紹介されています。

『分県登山ガイド22 愛知県の山』(山と溪谷社)1995年9月25日初版第1刷
  表参道から鷹打場経由湯谷温泉へのルートが紹介されています。

『名古屋からの山なみ 東山スカイタワー基点』(中日新聞本社)1991年6月1日発行
  伝説、歴史上の話が書かれている。

『27登山・ハイキング東海自然歩道2秋葉山〜関ヶ原』(日地出版)1997年版

『東三河の山 宇連山・棚山・鳳来寺山』(東三河山ぽ会)2004年3月28日第1刷発行
  鳳来寺山のルートは14紹介されていますが、三河大野からのルートは紹介されていません。

『ワンデルングガイド10愛知県の山』(岳洋社)平成4年6月13日2版発行
  表参道からのルートが紹介されています。東屋のあった頃の鷹打場の写真があります。

『日本列島花maps mini 静岡・愛知・三重』(北隆館)平成5年12月20日発行
  表参道からのルートと共にホソバシャクナゲなどの花が紹介されています。

『鳳来町誌 鳳来寺山編(鳳来町)平成17年3月31日発行
  鳳来寺旧本堂の写真があります。鳳来寺について詳しい記述あり。

『日本の山1000』 (山と溪谷社)1992年12月1日2刷
  門谷から鳳来寺山を撮った写真があります。

『コンサイス日本山名辞典修訂版』(三省堂)1989年9月1日第6刷

『新・花の百名山』(文春文庫)1997年8月5日第8刷
  赤城山(クサタチバナ)のページに鳳来寺山の名が出てきます。
  こちらで購入できます→amazon.co.jp『『新・花の百名山』 楽天ブックス『新・花の百名山』

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