石巻図根点 長彦から湯巻へ

 「長彦峠のマンサク」は咲いているだろうか。三角点を見よう。湯巻へ下れるだろうか。そんないくつかの目的を持ちながら午後に歩いてきました。そして、上記3つは達成しました。いや、もう少し正確に言うと、三角点と思っていたのは、じつは驚いたことに図根点でした。本当はもう一つ、ミスミソウは自生していないだろうか、という夢想に近いようなことも考えていましたが、さすがにこれは達成できませんでした。



図根点「石巻」

【図根点】276.39m 点名:石巻 現況状態:正常 20091029
      昭和29年6月12日選点 所在地:愛知県豊橋市大字嵩山字向イ88番地
      所有者:名古屋営林局 測標:樹上測標
【山 域】弓張山脈(弓張山地、弓張山系、湖西連峰、八名弓張山地) 石巻山多米県立自然公園
【水 系】豊川支流神田川水系、今川水系
【所在地】愛知県豊橋市嵩山町立岩・神畑・向イ・南山・岩本・平田・宮前・北ノ間・石巻町・
     静岡県湖西市大知波
【山行日】2010年2月19日(金曜日・雨水)
【行  程】十輪寺から周回
 豊川 ==(県5・R362 17.1km)== 十輪寺 ---- 長彦峠 ---- 図根点 ---- 飯盛山分岐 ---- 湯巻 --
 12:30                    13:06-13:09    14:16       14:50         15:10        15:46
  -- 十輪寺 ==(R362・県5 16.0km)== ヤマナカ ==== 自宅(合計走行距離:34.5km)
   16:12-16:16                   16:54-17:36    17:40
【山行時間】3時間3分
【標高差】約290m (最低地点:湯巻、最高到達地点:長彦峠)
【人  数】1人(単独)
【天  候】晴または曇 12℃(自宅出発時)、9℃(登山開始時)、13℃(16:15頃)、8℃(ヤマナカ)、
           7℃(帰宅時)
     2月19日15時豊橋の気象庁データ:気温8.4℃、風速5.8m/s、風向:西北西
【地形図】1:25,000 豊橋(とよはし) 平成14年8月1日発行1刷
【スタイル】ミズノ ウォーキングシューズ "FREEWALK"、ショートソックス、
 PHENIX化繊ズボン(中国製)、腕時計(CASIO TWIN SENSOR)、綿100%トランクス(日本製)、
 綿100%チェック長袖シャツ(中国製)、綿50% ポリエステル50%半袖水色Tシャツ、
 黒色ウェストバッグ、MILLETアタックザック、眼鏡、
 デジタルカメラ:MINOLTA DiMAGE7、SONY α350(楽天市場)(いずれも首に下げて歩く)
【所持飲料】AQUARIUS ZERO 500ml(約200ml飲む)、サントリービタミンウォーター500ml(飲まず)
 1月31日の日曜日に休日出勤した代休として、金曜日に出かけました。ただ、最初は一週前の12日に休んで4連休にしようと思っていたのですが、業務の都合上、そういうわけにはいきませんでした。

 前日は夜21時過ぎまで会議があって帰宅が遅くなりましたが、翌朝は車のオイルとフィルタ交換を予約していたので、まずはディーラーに向かいます。それからセルフガソリンスタンドに寄り、その後、前日に腕時計の皮バンドがちぎれてしまったので、その修理にカーマホームセンターに行き、バンドを交換しました(\1,980 10:50)。

 一旦帰宅し、早めの昼食としてサッポロ一番塩ラーメン2袋を食べて、少しゆっくりしてから出発します。晴れていますが、テレビでは雨が降るようなことを言っていたような気もします。でも、そんな気配もないため、気にせず出発しました。

 以前に買ってあったアサヒ ワンダ モーニグショット コーヒー(190g)を飲みながら、県道5号線から国道362号線へと姫街道を東へ向かいます。嵩山長彦の十輪寺に車をとめます。お寺には他の車はありませんでした。ここから長彦自然歩道を歩きますが、このコースは、昨年亡くなられた佐々木氏と二人で2008年4月に登っています(記録)。

 登山口付近のカゴノキや道端のオオイヌノフグリを見て、林の中へ入ります。途中で沢沿いの脇道に入ってみたりしますが、すぐに引き返して自然歩道を歩きます。周辺にはクヌギが多く生えています。最初はアベマキだろうと思っていましたが、落ち葉を見ると、裏が白くありません。この辺にはあまりクヌギはないと思っていましたが、そうではありませんでした。

 しばらくすると雲行きがあやしくなってきます。テレビでやっていた天気予報の雨が気になります。雨と言っていたのはどこかまでは聞かなかったのもあり、心配はしていませんでしたが、今にも雨が降るかもしれないという雰囲気も感じます。でも、まだ雲は薄く、一部には青空も覗いていたりもして、引き返すにはまだ早いようです。ただ、そのうち雨が降りそうで、マンサクの木がある場所まで行って引き返そうという気持ちになりました。自然とピッチも上がりますが、ちょうどいい運動になります。

 御用岩は前に寄っているのでパスし、「長彦峠のマンサク」へ行きます。するとちゃんと花をたくさんつけていました。ただ、写真を撮るには大木すぎてちょっと遠いのです。そして、空を見ると結構明るくなっています。林の中を抜けたのもあるかもしれません。もう少し先の長彦峠(大知波峠)まで行ってみようと思います。

 峠に出る前に道を外れて歩きやすそうなところがあったので入ってみます。すると平坦な場所があり、その先に林道があるようです。どうやらこの平坦地は林道跡のようです。林道に出て左折し、長彦峠に出ます。さて、ここまで来るとさらに先に進みたくなります。天気もそれほど悪化していません。この先、部分的にトレースしていない場所もあるのです。

 ということで、今来た林道を戻り、そのまま林道を進みます。すると左の尾根から林道に降りる場所がありました。見覚えがあります。2002年3月に三ッ口池から周回したときに、ここから林道に降りたのです(記録)。林道脇にはヒトツバも見かけました。石巻山は石灰岩の山なので、チャートの岩がある場所でよく見かけるヒトツバはないと思っていましたが、石巻山塊にもあったのでした。そしてバクチノキの幼木も見かけました。

 下っていく途中に、自然歩道が左へ下っていく分岐がありました。三ッ口池から周回したときは、ここを下ったようですが(当時の記録頼り)、今回は林道をそのまま下ります。以前使用していた昭和63年5月30日発行の地形図には、林道が載っていませんでしたが、平成14年8月1日発行の地形図には、この林道が載っていて、行き先がわかっているからです。

 しかし林道は、林道としてはかなり急斜面を下っていきます。こんなに下っては戻る気にもなりません。覚悟を決めて、戻ることをあきらめ、どこかを下ることにします。一番の候補は湯巻へのルートで、地形図には破線が記載されていますが、2007年2月に通ったときは(記録)、湯巻へのルートらしきものがあったという記憶はありません(帰宅後、当時の記録を確認してみると、鞍部から踏み跡があったようです)。次の候補は2007年に通ったときの入山ルートをたどることです。少し遠回りになるのと、結構複雑に歩いたような記憶があり、踏み跡ははっきりしないので、多少苦労しそうです。第3の候補は、石巻山の北側の神郷方面へ下ることです。ただ、この辺りは通ったことがありません。地形図上には破線がありますが、果たして今でも踏み跡があるかどうか不明です。そして里に下った後、月ヶ谷山をぐるっと回りこまなければなりません。最後の候補は、石巻山の車道あるいは登山道を西へ下ることです。これは通ったことがありますが、かなりの遠回りになります。日没までには車まで戻れないかもしれませんが、ほぼ里の道路歩きなので何とかなるでしょう。

 林道の分岐を過ぎ、少し行った先の右手に三角点があるはずです。それらしい場所で林道から尾根に上がります。しかし藪と石灰岩の岩で行く手を阻まれます。しかたなく林道側に近い場所を巻きます。そこにはピンクのリボンがいくつもあり、それを目印にできます。それでも藪の斜面で、右膝の近くを枝に引っ掛けたり、石灰岩の岩角で右膝を打ったりします。地形図を見ると、三角点は林道のすぐ脇にあるように錯覚してしまいますが、こんな苦労をするとは思ってもいませんでした。

 帰宅後、見ると、多少の傷痕が残っていました。岩角で打ったのは軽度で、痕は残っていませんでした。ただ、右足首の少し上の外側にも傷痕がありましたが、これはもう少し先でのことだろうと思います。

 そして尾根に上がり、少し先に標石がありました。ここにもピンクのリボンが多めに使われています。標石のすぐ脇にもあります。ひょっとして標石調査で使用したものでしょうか。帰宅後、点の記を見てみると、2009年10月29日に確認しているようです。そして驚いたのが、「図根点」の刻字があったことでした。地形図には三角点の表示がちゃんとあり、標高も載っています。標石は図根点なのです。他の面は、「地理調」、「愛7」、「基本」となっています。つまり、地理調査所時代に設置された図根点を三角点の代用として使用しているということでしょうか。地形図にない図根点はあちこちで見かけていますが、現役の図根点は初めて見ました。そして帰宅後、国土地理院のウェブサイトで調べてみると、しっかり図根点として点の記が載っていました。他にも同様な場所があるのでしょうか。興味が沸いてきました。



図根点「石巻」の左面「愛7」と右面「地理調」

 御池池守さんに聞いてみると、海上の森にあるものもそうだと教えていただきました。国土地理院のウェブサイトで確認してみると確かにそのようです。ここのものは、以前に登り口の表示を見ただけで、訪れてはいませんでした。そして、国土地理院のウェブサイトを見ていたら、たまたま近くの高座山のものも同様みたいです。おもしろいのは3つとも昭和29年に選点されたものであることです。

 図根点を過ぎて下っていくと、こちら側は難なく林道に出ることができました。さて次は、また林道から外れて、尾根を進み、飯盛山への尾根分岐まで歩くことです。2007年のときは、この分岐で引き返して石巻山に向かったので、分岐より東側はトレースしていないのです。

 林道から尾根に取り付き、少し行くと、倒木がたくさんあります。昨年の台風18号の影響でしょう。しかしその倒木の量は半端ではありません。尾根上のほとんどの木が倒れたような感じです。方向は全て南側へ倒れています。普通は南風で北側に倒れるのでしょうが、反対方向ということは、風が巻いたのでしょう。植林された木で元々倒れやすいことはあるでしょうが、こんなに一箇所で集中して倒れているとは驚きです。どんな風だったのでしょうか。想像すらできません。



尾根上の倒木帯



立ったまま残っている木はわずかで空がよく見える

 この倒木帯は大きく巻くしかありません。そして既に林道側に赤ペンキで巻き道が誘導されていました。それに従って大巻きして尾根に戻ると、そこは既に飯盛山への尾根分岐をわずかに過ぎたところでした。結局、分岐の東側尾根をトレースすることはできなかったのと同様ですが、これは仕方ありません。

 さて、ここからが考えどころです。まずは尾根を西進しますが、すぐに歩きやすそうなところを北側へ折れてみます。しかし、藪が増えてきたりであきらめ、尾根に戻ります。

 まずは鞍部まで行ってみることにします。ところが、この尾根道も倒木で塞がれ、歩きやすい北側を巻くように下っていきます。しかし尾根に戻りやすそうな場所はなく、どんどん歩きやすい下へ下へと下っていきます。獣道か、山仕事で使用した踏み跡かははっきりしませんが、歩きやすいので、そのまま下っていきます。そのまま谷へ下っていこうかと思いますが、だんだん藪っぽくなってきます。

 ここはトラヴァースして、谷すじまで行くことにします。すると踏み跡がありました。正解です。ここで少し安心しました。このまま谷を下って里に出られそうに思いました。

 しかし、そう思ったのも束の間、踏み跡はわからなくなってしまいます。それに近いと思った里は、まだずっと先に感じます。夕方に通ったこともない谷すじを下るなんて、登山の原則から言えば、やってはいけないことです。滝などで、いつ行き手を阻まれるかわかりません。しかし、ここは里に近い低山です。山仕事などで谷すじに踏み跡がある可能性は高いのです。それを信じて踏み跡を探します。古い黄色いテープがところどころにあり、何とかそれを見つけます。しかし、それがどこまで信頼できるか。去年の台風18号の影響で、どうなったかわかりません。

 谷間が藪に埋まっているような場所もありました。しかし歩きやすそうな方向へトラヴァースしていくと、そこに踏み跡が見つかったりします。そしてようやく民家の影が視野に入ります。ここで、今日初めてザックを下ろして、飲料を口に入れます。谷を歩いたり、外れたりして藪や倒木を避けて民家にたどり着きました。こんな倒木地帯で民家は台風のとき、大丈夫だったのだろうか、台風のときはかなりの強風にさらされたのではないだろうか、と思いますが、少なくとも今見る限りではつぶれたような民家はありませんでした。



湯巻集落のすぐ上も倒木が多い



湯巻集落に降り立つ地点は竹が多い

 道路に出て、できるだけ広い道を避けて脇道に入ります。川ぞいを歩いていくと、小川の分岐があり、1箇所渡れないところがあり、そこは田んぼの畦を歩いて道路まで遠回りしなければなりませんでした。途中で長孫天神社(おさひこてんじんじゃ)に寄ります。また道路に出ると嵩山鉱山に向かうダンプが2台脇を通っていきました。



道路脇にあった石灰焼成窯跡



長彦集落と背後の山



湯巻集落と背後の三嶽鉱山



東は県境でもある弓張山脈の主稜線が立ちはだかる



嵩山鉱山

 十輪寺に戻り、車中に置いておいた缶コーヒーの残りを飲み、岐路につきます。ヤマナカに寄ってから帰宅しました。

 見かけた植物
 マンサク(花)、アリドオシ、バクチノキ、イズセンリョウ(蕾)、アオキ(果実)、ネズミモチ、ヒイラギ、スギ、ヒノキ、カゴノキ、クヌギ、ヤブツバキ(花)、シキミ、フユイチゴ(果実)、キジョラン、ムベ、フウトウカズラ、テイカカズラ、キヅタ、アケビ、カラスザンショウ、アラカシ、ソヨゴ、ヒサカキ、マンリョウ、ナンテン、クリハラン、ヒトツバ、マメヅタ、シシガシラ、オオバノイノモトソウ、ヘラシダ、リョウメンシダ、ウラジロ、コシダ、ススキ、ヤマアイ(花)、カテンソウ、コクラン、ホトケノザ(花)、オオイヌノフグリ(花)、ヒメウズ


【長彦峠付近が紹介されている資料】

『石巻山自然観察路マップ』(豊橋市石巻自然科学資料館)
  長彦自然歩道、石巻巡回遊歩道、石巻観光路が載っています。

『赤岩自然歩道 赤岩寺自然歩道』(豊橋自然歩道推進協議会)
  「赤岩自然歩道周辺案内図」に長彦自然歩道や十輪寺などが載っています。

『渥美半島植物記』(恒川敏雄)昭和59年5月14日発行
  湯巻から石巻山へ上がる途中に「底知れぬ風穴」がある、と書いてあります。

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