コアブラツツジ 小油躑躅
Enkianthus nudipes (Honda) Ohwi
ツツジ科 スノキ亜科 ヒメシャクナゲ連 ドウダンツツジ属 アブラツツジ節



花 東三河 宮路山 2002.5.19




花 奥三河 鳳来寺山 2005.5.15

宮路山だけでなく、鳳来寺山でも見かけました。


 



葉裏・花(落下) 東三河 宮路山 2006.5.27

葉の裏は油を塗ったような感じなのですが、
写真では白っぽく見えるだけで油の感じはわからないですね。
落下した花は蜘蛛の巣に引っ掛かっていて、宙に浮いているように見えます。




実 東三河 宮路山 1999.9.17


 

 

 

黄紅葉 東三河 宮路山 2006.11.26




紅葉 東三河 宮路山 1999.11.28


 

 



紅葉 奥三河 明神山 2006.11.18


 



枯れ・冬芽 東三河 宮路山 2006.1.22




冬芽 東三河 宮路山 2005.3.6




道標にあるデザイン 東三河 宮路山 2005.11.12

 紅葉の時期の宮路山はカメラマンをはじめ紅葉見物の人たちで賑わいますが、花の時期に訪れる人はあまりいないようです。

 緑白色の花冠は合生し壺形で先は狭まり、先端は浅く5裂し、裂片が反り返ります。アブラツツジが若枝や花序の軸に短毛があるのに対し、コアブラツツジは無毛です。

 分布は本州(福島県・静岡県・愛知県・福井県和泉村・鈴鹿山脈・紀伊半島)と四国(高知県)の山地になります。高知県では絶滅危惧II類に指定されています。愛知県内では、宮路山に限らず、渥美や奥三河でも見ることができます。ただ、宮路山は一部の山の斜面がコアブラツツジの純林のようになっていますが、これは他の木を伐ったり、コアブラツツジを追加で植えたりした結果だそうです。植林帯との境界もはっきりしていたりして、遠目に見ると興ざめしてしまいます。

 『日本の野生植物 木本』に載っている写真も宮路山のもので、1984年6月1日撮影となっていますが、花の終わり頃のようで、花冠がなくなっているものが半分以上あります。

 丸い実はその後、割れるようです。褐色の殻と、すぐ隣には灰色の一昨年のものと思われる殻もありました。

 コアブラツツジ(小油躑躅)の名は、葉の裏に油を塗ったような光沢があるというアブラツツジ(油躑躅)に対して、その小型の種であるからだと言います。この木から油が取れたりするわけではないようです。
 宮路山のコアブラツツジは、菅原孝標女の更級日記で、「宮路の山といふ所越ゆるほど 十月つごもりなるに 紅葉散らで盛りなり 嵐こそ吹き来ざりけれ宮路山まだもみぢ葉の散らで残れる」と詠まれています。また、麓に御油(ごゆ)という東海道の宿場町がありますが、昔、持統天皇が宮路山に行幸されたときに油を献上したことが、この町の名の由来だと言います。
 御油と小油。この似た名前は偶然でしょうか?
 確かに、前述のようにコアブラツツジの名の由来と御油の地名は関係ないようです。とは言うものの、由来なんて曖昧なことが多いのも事実。
 勝手な想像ですが、次のような想像をしてみました。
御油の近くにある躑躅で、元々「御油躑躅(ごゆつつじ)」と呼ばれていたものが、いつの間にか「ごあぶらつつじ」と読み間違えられるようになり、ついには濁点が無くなり、また、一回り大きな似た種と区別するために、「小油躑躅」になったとか???
 でもまあ、葉の裏を見れば、確かに油を塗ったようにつやがありますので、上記のような想像は、単なる想像でしかないでしょうね。ただ、葉裏につやがあるのは、コアブラツツジに限ったことでもないようですが・・・

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