古山・小古山 伊良湖の藪山

 今まで気になりながら、取り付きがわからず、なかなか登れなかった渥美半島先端の古山に登りました。そしてついでにその隣の小古山のピークと思われる場所も踏んできました。
【山 名】古山(こやま) 91m
     小古山(ちいこやま) 40m
【山 域】渥美 三河湾国定公園
【所在地】愛知県田原市伊良湖町宮下・古山
【山行日】2009年3月7日(土曜日)
【行  程】道の駅伊良湖クリスタルポルトから
  豊川 ==(R1・県31・R23・県2・R259)== 道の駅伊良湖クリスタルポルト ---- 古山中央ピーク --
  9:02                                                  -10:44          11:07
  -- 古山西ピーク ---- 西斜面Uターン地点 ---- 古山北ピーク ---- 小古山 ---- 恋路ヶ浜遊歩道 --
       11:12               11:23                                 11:59        12:12
  -- 昼食 ---- 伊良湖岬灯台 ---- 道の駅伊良湖クリスタルポルト ==== 伊良湖神社 ==== ヤマナカ ==
  12:28-12:54                      13:11-                           13:53-          16:27-
  == 豊川 (合計走行距離:119.4km)
    16:58
【山行時間】2時間27分(休憩を含む)
【標高差】約90m
【人  数】2人
【天  候】晴 風強め 9℃(自宅出発時)、11℃(帰宅時)
     3月7日11時伊良湖の気象庁データ:気温11.0℃、湿度42%、風速9.6m/s、風向:北西、視程30.2km
【地形図】1:25,000 伊良湖岬(いらごみさき) 平成17年9月1日発行1刷
【スタイル】ミズノ ウォーキングシューズ "FREEWALK"、DUNLOP ウォーキングシューズ(中国製)、眼鏡、
 ショートソックス、mont bellズボン(中国製 ナイロン(バリスパン)100% \6,570)、
 綿55%・ポリエステル30%・レーヨン15%トランクス(中国製)、紺色デイパック、黒色ウェストバッグ、
 綿100%半袖Tシャツ(USA製)、綿100%チェック長袖シャツ(中国製)、腕時計(CASIO TWIN SENSOR)、
 デジタルカメラ:MINOLTA DiMAGE7(首に下げて歩く)、KONICAMINOLTA αSweet DIGITAL(途中から首に下げて歩く)
【所持飲料】アサヒ香る緑茶 いぶき 490ml(約150ml飲む)
 過去、骨山に行ったとき(記録)など、何度か古山に登ろうと思ったことはありました。しかし、取り付きにくそうで、藪も深そうで、夏場は蜘蛛の巣も張られていたりして、気持ちが乗らず毎回あきらめていました。そして今回は、最初から古山に登ることを最優先の目的として出かけました。と言ってもどこから取り付くか、はっきりと決めていたわけではありません。

 候補としては、(1)北面の遊歩道から谷状の場所を登る、(2)道の駅から歩道橋を渡り古山と小古山との鞍部めざして登る、(3)恋路ヶ浜から古山と小古山との鞍部あたりをめざして登る、(4)南面の遊歩道から登りやすそうなところを登る、の4つを考えていました。

 (1)は、ダイレクトに古山のピークをめざして登るので最短ルートと思われること、北面のため藪は薄いのではないかと予想できること、さらに遊歩道からの取り付き点がわかっていて出だしは急ではないことがわかっています。しかし、谷状のため、上部では急になる可能性が高いこと、樹林の中で暗い雰囲気である、というデメリットがあります。

 (2)は、無理のないルート取りで踏み跡がありそうな雰囲気がありますが、取り付きが茅原でさらに急斜面であり、取り付きにくそうな感じがあること、距離が長くなることがデメリットとして考えられます。また、地形図には直接小古山へ登る階段が描かれていますが、現在は無いのか、今まで確認できていません。

 (3)は、地形図に載っている碑の横の階段が描かれているところを登るのと、もう少し古山寄りの斜面から取り付くルートを考えていましたが、地形図の階段はありそうにないことと、南斜面なので、藪が濃そうで、途中で断念する可能性が高いというデメリットがあります。

 (4)は、(1)と同様、古山のピークまでの距離は短いと思われますが、地形的な特徴に乏しく、また南斜面で上部では藪が濃くなってくるかもしれないという不安があります。

 そこで今回は、まず(3)を考えていましたが、当日、確か『渥美半島植物記』の記述で、(2)のルートで取り付いているようなことが書かれてあると同行者から聞いたので、(2)のルートを最優先で考えることにしました。

 家を出発し、R1沿いでガソリンを入れてからR23へ抜けて、豊川橋を通ります。予想以上に混雑していて、10時の待ち合わせ時刻に間に合うか、微妙になってきます。この道路は2007年に開催された笠山での自然観察会(最終回の記録)に参加するために何度も通ったところです。裏道も覚えました。今日はR23をそれて、その裏道を通って行くことにします。その後、港大橋あたりからはスイスイ走れるようになりました。結局、予定より10分ほど前に到着できました。同行者はもう到着していました。私の車で出発します。

 三河湾側をR259等で進みます。伊良湖町では菜の花畑が満開です。でも立ち寄ったりはしません。道の駅伊良湖クリスタルポルト(http://www.irago.net/port/)に駐車します。伊良湖港からは以前に神島(記録)へ行ったりもしています。

 トイレに寄ってから歩道橋を渡ります。さてどこから取り付くか。正面の茅原にはいくつか踏み跡らしきものがありますが、人の通った跡か、獣道なのかわかりません。真正面の踏み跡は、茅原を直登していきます。沢状でもあり、足元が不安定かもしれません。それに急登です。少し右側の踏み跡をたどれば茅原を少し上がって樹林帯に入れます。そちらを選択します。



歩道橋から道の駅伊良湖クリスタルポルトを見る



歩道橋の正面に古山

 茅原の登りだしは、急です。枯れた茅につかまりながら登っていきます。そして樹林帯に入ると、藪は大したことなく、傾斜も緩くなって歩き易くなります。風も抑えられています。このまま古山方面へ上がるか、それとも先に小古山へ向かうか。まずは小古山へ向かうことを考えて、鞍部方面へトラヴァースするように進んで行くことにします。

 しかし小古山方面へは茅原の密生で容易には行けそうにありません。逆に古山方面へは歩き易い斜面に見えます。小古山は後回しにして、まずは古山に登ることにします。斜面はそれほど急ではありませんが、歩きやすくはありません。土の色は黒色ですが、砂状なので、滑りやすいのです。まあそれでも砂浜ほどではないので、それほど苦労するわけではありません。

 傾斜が緩くなり、山頂部に達すると、傾斜はほとんどなくなり、また砂状の土でもなくなり歩き易くなります。そして、右手に露岩があり、そこから海が見えます。どうやら北面の沢状地形の上部のようで、ここが一つのピークになっているようです。ただ、見通しはあまりなく、他にもピークがあるかもしれないので、もう少し西に進んでみることにします。



古山中央ピークから北に海を見る

 ほとんど平らな尾根を西に進むと一段高くなった場所がありました。ツワブキの葉がいくつか目に入ります。そしてコンクリートでできた壁か何かの残骸のようなものがあります。神島の監的硝と同様に、戦前あるいは戦中に使用されたものでしょうか。どうやらこの高みはその建造物の残骸と関係がありそうです。自然か人工的な盛り土か微妙な感じを受けました。このピークが地形図の91m標高点にあたるようです。



コンクリートの残骸

 さてもう少し西に進んでみますが、どうやらどんどん下るようなので、途中で引き返します。2つのピークを越えて少し行くと左前方に少し高みがあります。そちらにも行ってみることにします。ここもピーク状で、岩が点在しています。そして伊良湖港方面が樹間から見下ろせます。



山頂部の樹林



北ピークの露岩



北ピークから波を見下ろす

 結局、古山の山頂部には3つの小ピークがあるようです。最初に行った沢の源頭あたりにあるのが中央ピークで、建造物があったピークが西のピーク。そして最後に北東方面にあるのが北ピークと言えます。

 さて、小古山との鞍部へ戻っていきます。少し南寄りに進むと太平洋も見えます。そして恋路ヶ浜にある建物なども樹間からちらっと見えたりします。足元にはフウトウカズラの葉がびっしり生えています。

 南寄りに進むと深さ数メートルほどの穴が空いている場所がありました。さらに斜面に塹壕のような溝状に掘られたらしき場所もいくつかあります。階段のような跡もあります。これらはいつ頃のものでしょうか。穴はそれほど古くは見えません。溝状のものは草も生えています。階段は地形図に載っているものでしょうか。戦争との関連はあるのでしょうか。硫黄島ではありませんが、きっと伊良湖も米軍上陸の最前線の一つという位置づけだったような気もします。でも、その後の観光施設か何かの跡かもしれません。いずれにしても、そんな穴などに落ちたら大変です。気をつけて歩かなければなりません。



垂直の穴 脇にはオニヤブソテツも生えている



溝状に掘られたような場所もいくつかある



地形図に載っている階段か? フウトウカズラも見える

 鞍部よりも南寄りに進むと茅原を避けて回り込むように小古山へ行けそうです。ちょっと藪っぽいところもありますが、比較的楽に小古山に近づいていけます。そしてピークらしきところは樹林帯からわずかに外れた茅原にあるようです。一旦強引にそこに行こうとして、枝で唇を傷つけてしまいました。ちょっとだけ血が出ましたが大したことはありませんでした。一旦戻り、少し西に回りこんで茅原に出ました。



小古山から古山方面を見る

 ピークらしきところは猫の額ほどの空間があり、足元にはコンクリートの円い形がありました。以前は何かあったのでしょう。楚石のようなものかもしれません。地形図では2つの階段が小古山に向かっていますので、展望台のようなものがあったのかもしれません。



小古山の猫の額

 鞍部辺りへ戻り、恋路ヶ浜方面の建物が少し下に見える辺りから、そちらへ下りることにします。最後は、ちょっと強引に藪を分けて建物の裏に出ます。黒猫がヒミズか何かをくわえて我々の横を悠然と歩いてすれ違って行きました。あまりに堂々とした行動が不思議に思えるほどです。遊歩道に出たところには「伊良湖岬の祈り」の碑がありました。地形図にも載っている碑でしょう。



ヒミズ?をくわえた黒猫

 数々の「日本の百選」(道・渚・白砂青松・音風景)に選ばれている恋路ヶ浜の砂浜を歩いて、岩陰で昼食とします。稲荷寿司やおにぎりなどを食べますが、砂が舞って食べ物についた砂が口の中にも入ってしまいます。



恋路ヶ浜から宮山(直立山)方面を見る



恋路ヶ浜から伊良湖水道を隔てて神島を見る



風に砕かれる波と神島 6日後の3月13日には伊良湖沖で貨物船同士の衝突事故もありました



恋路ヶ浜で黒松と空を見上げる

 昼食後は、遊歩道に合流し、1998年に「日本の灯台50選」に選ばれた伊良湖岬灯台から海岸を歩いて道の駅へ戻ります。風がかなり強いのは、古山に当たった風も合わせて遊歩道を通るからかもしれません。伊勢湾フェリーはそんな中でも鳥羽へ向かって行きます。



伊良湖岬灯台と神島

 道の駅に戻り、建物内にあるコーヒールームでホットコーヒー(\350)を飲みます。窓の外を見ると、かなたに南アルプスらしき雪山が見えました。聖岳と赤石岳でしょう。暖冬だと言われている中、しっかり白く見えるのは嬉しい限りです。

 さて、まだ時間があるので、今まで行ったことのなかった伊良湖神社へ行ってみます。先客が1組いましたが、他には誰もおらず静かなものです。建物はやはり伊勢神宮を思わせます。神島同様、海を隔てればすぐに伊勢だという地理的なものが影響しているのでしょう。近くではジロボウエンゴサクなども花を咲かせていました。

 集合場所に戻り、同行者は田原市博物館へ行ってから帰ったそうです。私はヤマナカに寄ってから帰宅しました。途中では庭木のシデコブシが咲いているのを見かけました。

 見かけた植物
 オニヤブソテツ、フウトウカズラ、ウラシマソウ、ツワブキ、アゼトウナ、ハマボッス、ノゲシ、トベラ、カラスザンショウ、イヌマキ、ヤブニッケイ、ネズミモチ、マンリョウ、カクレミノ、クロマツ、ヤツデ


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【古山が紹介されている書籍】

『たはらの海辺の博物誌』(田原市)平成20年3月 第1刷発行
  古山原生林、古山の風衝樹形が紹介されています。

『渥美半島植物記』1984年
  植生が紹介されているほか、小古山も載っています。

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