摩耶山 新神戸駅から周回

 出張ついでの週末に初めて六甲を訪れました。メジャーなルートからちょっとマイナーっぽいルートも歩き、想像よりも自然の豊かさを感じました。布引の滝(雄滝)は一見の価値があると思いました。



掬星台からの展望

【山 名】摩耶山(まやさん)(八州嶺) 702m
     摩耶別山(まやべっさん) 717m
     東山 360m
【三角点】三等 698.63m 点名:摩耶山(まやさん) 所有者:神戸市
      明治36年6月7日選点 平成18年2月10日更新(都市再生街区基本調査)
      所在地:兵庫県神戸市灘区摩耶山町2番2
     四等 425.02m 点名:山郡(やまごおり) 管理者:神戸市
      平成2年2月13日選点 平成8年2月1日改測
      所在地:兵庫県神戸市中央区葺合町字山郡1番321
【山 域】六甲山地(六甲山系、六甲連山) 瀬戸内海国立公園、摩耶山国有林
【水 系】生田川水系・西郷川水系・都賀川水系
【所在地】
 兵庫県神戸市
  中央区熊内町(くもちちょう)・加納町(かのうちょう)・神戸港地方(こうべこうじかた)・
    葺合町(ふきあいちょう)口城山(くちしろやま)・布引山(ぬのびきやま)・山郡(やまごおり)・
     口円光坊(くちえんこうぼう)・後笹原(うしろささはら)・東山(ひがしやま)・
  灘区岩屋(いわや)・原田(はらだ)青ケ谷(あおがだに)・摩耶山町(まやさんちょう)・
    摩耶山(まやさん)・大石(おおいし)
【山行日】2011年2月19日(土曜日・大安)
【行  程】新神戸駅から周回
  ほてるISAGO神戸 ---- 新神戸駅 ---- 雌滝 ---- 雄滝 ---- ロープウェイ下 ---- 五本松かくれ滝 --
                         8:14        8:36      -8:51         9:14                 9:18
  -- 車道に出る ---- 車道分岐 ---- 櫻茶屋 ---- 分岐右折 ---- 尾根上分岐 ---- 送電線鉄塔 ---- 三角点 --
       9:30            9:39         9:53-       9:57           10:17           10:21         10:25
  -- 学校林道分岐 ---- 反射板 ---- 岩屋尾根分岐 ---- 地蔵谷分岐 ---- 摩耶山 ---- 摩耶別山 --
        10:48          11:11       11:12-11:18         11:24         11:40        12:08
  -- 天上寺 ---- 掬星台 ---- 青谷道分岐 ---- 不動明王 ---- 旧摩耶道分岐 ---- 岩屋尾根分岐 --
     -12:25   12:40-12:50      13:17          13:37           13:40             13:44
  -- 上田道分岐 ---- 四差路 ---- 東山 ---- 道路に出る ---- 新神戸駅 #### 名古屋駅 ####---- 自宅
       13:58         14:06      -14:13       14:41       14:56-15:22                      18:30頃
【山行時間】約6時間40分(休憩を含む)
【標高差】約665m
【人  数】1人(単独)
【天  候】晴
     2月19日神戸の気象庁データ:平均気温6.3℃、最高気温9.2℃、最低気温1.9℃、
                   平均風速2.8m/s、最大瞬間風速10.2m/s、風向:東北東、平均湿度54%
【地形図】1:25,000 神戸首部(こうべしゅぶ) 平成17年3月1日発行1刷
【スタイル】ハイドロテック スポーツシューズ HDRT-013 ダークブラウン(\7,245) 2010.04.10購入、
 ショートソックス、PHENIX化繊ズボン(中国製)、黒色軽量ザック(RIPEN プチ クロワール J-02100)、
 綿100%トランクス(中国製)、眼鏡、中国製グレー半袖Tシャツ(綿70%・ポリエステル30%)、
 TARAS BOULBA(アシックス)POLARTEC(ポリエステル100%)SERIES200フリース(登りの途中で脱ぐ)、
 綿100%チェック長袖シャツ(中国製)、デジタルカメラ:SONY α350(首に提げて歩く)
【所持飲料】伊藤園 TEAS'TEA GREEN & RED アップルティー500ml(約400ml飲む)、
      爽健美茶 500ml(約250ml飲む)、サントリー伊右衛門(緑茶)600ml(飲まず)
 会社で研修を受けることになりました。場所と日程は選択できます。場所は東京(八王子)と大阪。過去に八王子へは出張で2008年に2回行っています。このときには、2回とも高尾山に登っています(2月の記録10月の記録)。一方、大阪へは万博をはじめ、旅行や、1991年に入社してからの研修でも訪れ、組合の中央委員をしていたときにも何度か行っています。ただ、ここ何年かは縁がなくなってしまっています。また、大阪出張ついでで山に行ったことは一度もありません。今後も、東京出張はあるかもしれませんが、大阪出張の機会はないかもしれません。ということで、大阪出張を優先で考えました。日程は、週初めと週末の2回からの選択となりますが、研修を終えてすっきりしてから登山をしたいと思い、週末の研修を優先で考えました。そして週末の研修日程で上司の了解も無事に得られました。

 さて、どこに登ろうか。研修場所は大阪のど真ん中なので、近くに登山の対象となるような山は見当たりません。過去に大阪周辺で登ったことがあるのは、生駒山地の二上山です(記録)。次に大阪に近いのは京都の大文字山と愛宕山(記録)です。南東と北東方面へは行ったことがあることになります。西方にあたる六甲へは行ったことがありませんでした。西方で行ったことがあるのは、中国山地の氷ノ山(記録)と、このとき、ついでに登った妙見山(記録)になります。

 六甲というと、道路が上まで行っていて、観光的にとても開けた場所というイメージでした。登山の対象としては、あまり魅力的に思えず、今まで登ろうという気にならなかったのだろうと思います。正確には、わざわざ関西まで行って登るような山ではないと思っていました。それでも私にとって今までに行ったことがない山域です。今まで順番待ちになっていたとも言えるかもしれません。出張ついでに登るには最適と言えるかもしれません。それに、『単独行』で有名な加藤文太郎が六甲全山縦走をしたということを、新田次郎の『孤高の人』で読んで、いつかはその足跡をたどりたいとも思っていました。

 六甲といえば神戸が思い浮かびます。神戸には1981年のポートピアや、1996年に大文字山に登ったのとセットで訪れたルミナリエ見物で訪れたことはありますが、山には登っていません。神戸周辺の地図を見ると、摩耶山が目に入りました。以前にも登ろうと検討したことがあったのを思い出しました。氷ノ山を検討したときに、候補に挙げていたような記憶があります。氷ノ山と摩耶山では、少し遠いとはいえ氷ノ山に軍配が上がるのは必然だったのでしょう。今回は出張ついでのため、本格的な登山装備はありません。摩耶山にしても登山道に積雪があれば、もっと低い山に変更するつもりでした。公共交通機関の便利がよく、積雪がほとんどないことが必須条件でした。

 出張予定が早めに決まったので、山の下調べもある程度できました。地形図も豊橋の精文館で購入できました。ただ、『山と高原地図』の六甲は売り切れていたようで手に入りませんでした。地形図だけでは、載っていない登山道もあります。そこで、とても参考になったのが、『Tokiwaの山歩紀』の「摩耶山 登山道 ハイキングマップ」(http://tokiwatrekking.web.fc2.com/page_tozanmap/mayamap.htm)です。しかし、はっきりとどのルートにするのか、決めるほどの時間はとれませんでした。上記サイトのルート図をプリントアウトして持っていくことにしました。

 金曜夜は、自腹での宿泊です。大阪から神戸へ移動し、チェックインし、入浴後、ルート検討します。出発地点は新幹線の新神戸駅です。登りは「ハーブ園東尾根」を第一候補とします。理由は、できれば世継山をピークハントしたい、ということです。その後、稲妻坂を登り、摩耶山へ。さらに摩耶別山をピークハントし、引き返し、下りは青谷道から旧摩耶道を通って新神戸駅に戻るというルートを考えました。ただ、ルートはたくさんあるようです。新神戸駅を基点とすることさえ押さえておけば、あとは現地で判断しても問題ないでしょう。

 当日朝、チェックアウトするとき、私の姿を見て、フロントの男性に「山に登るのですか?」と聞かれます。そして少しだけ話をしていると、布引の滝の名前を出してきました。あまり興味はなかったのですが、たぶん予定した登りで見ることができるだろうと軽く考えていました。登山口はすぐ先にある、とも教えていただきましたが、新神戸駅のコインロッカーに荷物を入れておきたいので、まずは駅への行き方を聞いて、駅に向かいます。

 ところで、泊まった『ほてる ISAGO 神戸』の「いさご」とは布引の滝がある山を指すようです。平安時代初期の伊勢物語に「いさこの山の上にありという布引の滝見にのぼらむ」とあります。また、「あしのやの砂子(いさご)の山のみなかみをのぼりて見れば布びきのたき」は、後九條内大臣(藤原基家)の作で、1310年頃の夫木和歌抄(ふぼくわかしょう)にあります。また、新神戸駅から少し入ったところにある橋の名が「砂子橋(いさごばし)」です。さらに、この橋の北東にある小山を砂子山と呼ぶようです。

 ホテルの玄関を出て右へ進みます。来るときは、三ノ宮駅から歩いてきたので左方向から来ました。先で左折し右に行けば駅です。ただ、駅は立体的になっているため、どこから行けば入口に入れるのか、ちょっと迷ってしまいます。

 駅舎脇の歩道橋のようなところから駅に入るとすぐ先の右に新幹線の改札口があります。コインロッカーは真っ直ぐ行った先にありました。このコインロッカーに鍵はついていません。中央の画面で操作をし、300円を入れます。出てきた用紙に番号が書いてあり、開錠時に使用するというしくみです。

 さて、昼食を買わなければなりません。駅なので、おにぎりぐらい売っていると思い、荷物を持っていたこともありますが、ここまで買わずに来ました。おにぎりは気づいただけで2箇所で売っていました。大きな売店の通路を挟んで対面に、手作りっぽい小さめのおにぎりがありました。「淡路屋」という店です。ここで4つを購入し(\480)、ついでに爽健美茶(\150)も買います。後日、2011年4月30日の朝日新聞土曜版の「GWに食べてみたい高級駅弁」ランキングで、1位と3位に入っていたのが新神戸駅の「しゃぶしゃぶ弁当「村雨」」(\2,000)と「神戸ワイン弁当」(\1,600)で、その店名が「淡路屋」でした。もっとも、選者4人のうちの1人が神戸出身というからひいきが多少あるのかもしれません。そして、大きめの売店「アントレ マルシェ」で、紅茶と緑茶のPETボトル(各147円)などを買いました。

 さて登山口はどこでしょうか。探してみると、「布引の滝」への表示がありました。ホテルの人といい、駅の表示といい、布引の滝は観光名所のようです。やはり訪れないわけにはいかないのでしょうか。

 表示の矢印方向に進みます。1階に下り、道路に沿って駅舎の下をくぐります。もう車は走っていません。少し先で最初の分岐があります。ここを左上の階段へ進むと北野異人館街へ行けるようです。「背山散策路 北野道」との表示がありました。真っ直ぐ進むと、民家脇にも分岐があります。ここは「城山を経て二本松林道」となっています。いくつか民家を過ぎると、右手に赤煉瓦の砂子橋(布引水路橋)があります。明治33年に造られたようです。左は川の右岸になり、「150m先 通れません 右側の道を登ってください。」とありました。少し先には祠がありました。「岩地蔵」が祀られているようです。



駅舎の下をくぐり抜けたところ



駅裏の道



北野道入口



砂子橋を渡り振り返る

 橋を渡るとまた分岐があります。右へ行く道が1つと左へ行く道が2つ。布引の滝は左ですので、左の2本のうち、沢沿い(左の左)を進むことにします。その先に滝がありました。その下は堰堤のようになっています。右には建物もあります。看板を見ると、「雌滝取水堰堤(めだきしゅすいえんてい)」とあります。明治33年のもので国指定重要文化財になっているようです。この滝が布引の滝か、まあ想像通りの大きさだな、と思いました。ところが、これは、布引の滝でも、雌滝のようで、高さ19mとあります。



雌滝取水堰堤

 読み方は、「布引の滝」が、「ぬのひきのたき」ではなくて、「ぬのびきのたき」と濁るようです。そして「雌滝」は、取水堰堤の看板では、「めだき」となっていましたが、「めんたき」と呼ぶのが一般的なようです。布引の滝は、4つの滝の総称のようで、この雌滝が最下流に位置し、上に、鼓滝(つづみだき)、夫婦滝(めおとだき)、雄滝(おんたき)と続くようです。布引の滝は、那智の滝、華厳の滝と並んで、日本の三大神滝(さんだいしんたき)とされているようです。また、「布引渓流」は、昭和60年に、環境庁「全国名水百選」に選定されたそうです。

 滝から右の階段を登ると、先ほどの分岐で分かれたもう一つと合流します。その後も沢沿いの道を進むと、鼓滝がありました。名の由来は滝と滝壺でできた空間が鼓の形に似ているからでしょうか。それともその音からでしょうか。夫婦滝はどこだったのか、途中には人工的な滝状の場所はありましたが、夫婦滝はわかりませんでした。最初に予定していた、「ハーブ園東尾根」へのコース入口も過ぎてしまったのでしょうか。それとも最初のあたりにあった分岐のどれかだったのでしょうか。結局わからず、沢沿いに進んできてしまいました。ただ、沢沿いを歩くのも変化があってこれはこれでいいものです。ピークハントにこだわらず、そのときの雰囲気で選択してきましたが、この後もそうするつもりです。



鼓滝

 さて、雄滝です。これには驚きました。想像以上です。こんな都会に近い低山で、こんな立派で大きな滝があるとは想像外です。新神戸駅に行き先表示があるのも納得です。ホテルの人が布引の滝の名を出したのも納得です。一見の価値ありです。六甲で一番の見どころなのではないかとさえ思います。もっとも六甲を訪れたのは初めてなので、本当かどうかはわかりませんが、初めての六甲でも、そう思わせるには十分なのです。下手にピークハントにこだわって、途中で尾根に行ってしまわずに沢沿いに流されて歩いてきて、正解です。あやうく、見所をスルーしてしまうところでした。団体の登山者もいました。布引の滝はその雄大な滝の姿だけでなく、歴史的にも有名でもあるようです。たとえば、『源平布引滝(げんぺいぬのびきのたき)』という文楽(人形浄瑠璃)があったりします。



布引の滝雄滝

 高さは43m。大きく見えるのはその高さだけではなさそうです。滝壺がとても大きく430平米(130坪)あるそうで、その空間がでかいのです。そして、雄滝は、一段の滝ではありません。メインの滝の滝壺の下にも滝がかかっています。メインの滝の上にも滝が連なっています。昔から多くの歌にも詠まれています。途中には歌碑がいくつもあります。全部で36基あるそうで、「歌碑のみち」とも呼ばれているそうです。



布引の滝雄滝の滝壺の下にも滝



大きな滝壺を見下ろす



滝上部まで見えた

 滝の左岸を上がると売店のような場所があり、その上で登山道に合流します。右に少し行くと狭い展望台がありました。まだそれほど高度は上がっていないようで、神戸の高いビルよりもまだ低い位置にいることがわかりました。



1988年に開業した新神戸駅前のクラウンプラザ神戸(旧新神戸オリエンタルホテル)よりもまだ低い位置にいます

 少し上に上がったところは、広い展望台でトイレもあります。登山者も何人かいます。右へそのまま進むと道路に出てしまいました。引き返して、左のゲートがある場所を進みます。



トイレもある展望台からジークレフ新神戸タワーというマンションも見ます



港方面を見ます

 左に「猿のかずら橋」という橋がありました。骨組みは鉄やコンクリートでできていて、かずらが巻きつけられているようです。2006年にツルが巻きつけられたそうです。材料はサルナシとのこと。



猿のかずら橋



猿のかずら橋の歩道部分

 国指定重要文化財になっている大正初期に造られた「谷川橋」を生田川の右岸へ渡ります。少し上には大きなオニグルミがあり、その対岸に「五本松かくれ滝」があります。すぐ上にあるダム湖百選にも選ばれている布引貯水池がオーバーフローしたときのみ流れる滝とのことです。このときはほとんど流れていませんでした。名称は平成19年に募集によって決められたそうです。ここで、フリースを脱ぎます。

 布引ダムの布引五本松堰堤は明治33年(1900年)にできた日本最古の重力式コンクリートダムで、2006年に国重要文化財に指定されました。下から見ると圧倒されるような石積みの歴史ある壁に見えます。



布引ダムの布引五本松堰堤

 ダムの上は人工的な歩道になっています。オーバーフローする水路の上に造られているようです。布引貯水池は布引断層が通っている場所でもあります。地形図を見ると、東西に谷をつないでまっすぐ延びているのがわかります。



布引ダムの縁を通る歩道



布引貯水池

 池畔を離れて登ると車道に出ます。方向は左でしょう。一旦進みかけますが、地図を見ると、右方向に新神戸ロープウェイの「風の丘」駅があるはずです。そのあたりから世継山方面へ行けるかもしれません。もう雄滝も見れたし、沢沿いを離れてもいいでしょう。ただ、駅方面は工事をしているようです。



布引貯水池上の道路

 小さな市ヶ原橋を渡ってすぐの神戸布引ハーブ園方面への道路は工事中で通行止めのようです。ハーブ園も休園中で、ロープウェイも運休中のようです。駅を下側から回りこんで行きますが、歩道はないようです。仕方ありません。あきらめて引き返します。

 道路を歩いていくと、左下から歩道が合流します。どうやらダム湖沿いに歩道があったようで、車道を歩かなくてもよかったようです。少し先には「布引山養蜂場」の看板がありました。その先、櫻茶屋の前のベンチで休憩します。その手前に、「山ガール」募集のビラが貼ってありました。流行の若い女性がたくさん集まっているのかなあ、なんて思いましたが、条件として、「60歳以下の女性」とありました。

 ここは「六甲全山縦走路」になっているようです。少し先に、登山道の分岐があります。右折するとハーブ園東尾根に上がることができます。世継山へ行くには尾根を少し戻ることになりますが、これが最後のチャンスです。迷わず右折します。「市ヶ原ハーブ園連絡道」と呼ぶようです。ただ、他に歩いている多くの人はもう少し先の天狗道の尾根を行くようです。でも、右折した方にも一人が歩いているのを見かけました。

 途中で見かけた地面のロゼット葉には霜が降りていました。それほど寒くは感じませんが、気温は低いようです。登りきった尾根の合流点には、「神戸布引ハーブ園 休園のお知らせ」の看板があり、3月31日まで園内の通行ができない、とありました。世継山が園内で通行できないのかわかりませんが、その可能性があると思い、ピークハントはあきらめて、尾根を摩耶山方面へ行くことにします。



尾根に上がったところの分岐

 すぐ上には送電線鉄塔がありました。二人が休憩しています。東西に送電線が走っています。東側は谷の源頭付近が見えます。崩れている場所があり、重機も見えます。1995年の阪神淡路大震災(兵庫県南部地震)の時に崩れた跡のようです。



送電線と震災跡 鉄塔4本が立つのは学校林道上の451mピーク

 少し登ると分岐があります。左へ行くと「トエンティクロス」です。これは、生田川を20回横断するルートという意味のようです。先ほどの沢沿いルートへ下っていけます。右が摩耶山方面です。ここで地図を見ました。するとすぐ先に三角点があるようです。ならば寄らない手はありません。一旦左に入り、小ピークまで行きます。

 三角点は、埋まり気味にありました。チップもついていました。引き返し、分岐を右へ行きます。するとすぐ先にも分岐がありました。こちらは「→トゥエンティクロス」となっていました。どうやら三角形にルートが通っているようです。沢沿いから来れば、どちらから来ても、三角点の小ピークは通らないことになります。つまり、ルート的にこの小ピークを通る人はそれほどいないでしょう。



四等三角点「山郡」



トゥエンティクロスへの分岐

 さてここから先、地形図には「稲妻坂」とあります。標高555m地点には、右へ学校林道への分岐があります。さらに尾根を進むと、霜柱も多くありました。残雪も出てきました。岩場もあります。岩屋尾根との分岐付近で休憩し、おにぎりを一つ食べます。



霜柱

 反射板を過ぎると地獄谷方面への分岐がありました。もう少し登り、石段を上がります。そして、アンテナがいくつも立つ場所に出ました。突然、このような場所に出て、今どこにいるのか、わからなくなります。ひょっとしてもう摩耶山の一角にいるのでしょうか。一旦真っ直ぐ広い道を進みますが、摩耶山のピークだとしたら、最高点や三角点に寄らなければおさまりません。地形図を見ると、アンテナマークと三角点と702mの最高点はほぼ同じ場所にあります。ということは、建物の脇にある歩道を行けば、最高点でしょうか。わずかに戻り、歩道に入ります。するとピークに向かって登っていきます。



山頂部の一角にあるアンテナ

 「天狗岩大神」と石や鳥居に書かれた神社があります。このあたりが最高点のようです。少し左奥の開けた場所に三角点もありました。「摩耶山頂(標高698.6m)三等三角点」と表示のある立派な看板もありました。今歩いてきた、この天狗岩へ登る摩耶山西尾根を天狗道と呼ぶようです。



山頂の神社



摩耶山頂上の三等三角点

 さて、ピークハントのため、摩耶別山まで行きたいところです。左下へ下ると、そこには、「摩耶山三角点」への道標がありました。前を歩いていた人はこちらから三角点に訪れたようです。



山頂付近の残雪



三角点への道標

 道路を行くと、右下へ上野道への分岐がありました。下りはここから下ることにします。まずは摩耶別山方面へ。でも、その前に、掬星台(きくせいだい)という場所があるようです。

 そこは、とても広い広場になっていました。一角には摩耶ロープウェーの「星の駅」もあります。そして、展望台から眼下には神戸方面の展望がほしいままに広がります。掬星台とは、手で星が掬(すく)えるほどの美しい夜景を眺めることができることからの命名と言われているそうです。長崎、函館と併せて日本三大夜景の一つとなっています。摩耶山の別称である「八州嶺」とは、「摂津、播磨、淡路、丹波、山城、河内、和泉、紀伊」の八州が望めるからだそうです。

 展望をしっかり見てから摩耶別山方面へ進みます。道路沿いにも行けるようですが、歩道「掬星台 天上寺道」があります。一旦「オテル・ド・摩耶」という宿泊施設の前に出て、その駐車場方面へ進み、その先でまた歩道に入ります。

 その先で、摩耶山天上寺(てんじょうじ)の脇に出ます。摩耶山は天上寺の山号です。「摩耶」は、釈迦の生母です。立派な屋根が並んでいます。古くはないようです。まずは摩耶別山のピークと思われる方向へ行きます。



天上寺の屋根

 登山道を行くと、左に「神戸市水道局 摩耶減圧槽」という施設がありました。ここがピークのようですが、中には入れません。この施設をぐるっと回り込むように道路があり、そこを歩き、戻りました。何の表示もありませんが、きっとここが摩耶別山のピークだろうと思います。

 天上寺の入口は道路側にありました。「裏参道入口」から階段を下りて境内に入ります。本堂へも靴を脱いで扉を開ければ入れます。不動明王が祀ってありました。庭が賑やかになってきました。団体の登山者がやってきたようです。近くを通ると、フキノトウが出ているよ、と教えてもらいました。さらに、ベニマンサクのつぼみと、マンサクも。マンサクは花が開き始めています。登山道でも見たと言っていましたが、私は残念ながら見つけられませんでした。



天上寺



天上寺からアンテナの林立する摩耶山頂上方面を見る

 道路を通って戻ると、「オテル・ド・摩耶」の駐車場に出ます。途中、脇にそれて展望を楽しんだりし、掬星台に戻って、ベンチに座り昼食とします。10分後に出発します。

 分岐から上野道方面へ下っていくと、摩耶山史跡公園となっている旧天上寺跡を通ります。摩耶別山にあった天上寺が新しいわけです。以前はここにあったのです。しかも、まだ瓦などが残っていたりしています。説明を読むと、昭和51年に火災により消失したとのこと。



旧天上寺跡の石段と石垣

 「旧摩耶の大杉」にも寄ります。大きな杉ですが、よく見ると枯れていました。説明書きに、昭和51年の大火災で火を被ったことが原因で、徐々に樹勢が衰え枯死した、とありました。石垣はあちこちにあります。もう樹木が茂って、アンコールワットのようです。もっとも、本物のアンコールワットには行ったことないので、想像ですが。



旧摩耶の大杉



草木が生い茂る石垣

 表参道の石段は続きます。下には仁王門もありました。もちろん仁王像はありませんが。この下で上野道と別れ、青谷道に入ります。



参道脇には「金百圓」の石柱が並ぶ



仁王門



青谷道の道標

 「不動瀧御禊場」を過ぎると、また分岐があり、青谷道と別れ、旧摩耶道へ入ります。ここはとても静かなルートです。自然豊かな雰囲気もあります。すぐに青谷道へ戻れる分岐がありますが、これは岩屋尾根の末端にあたる道のようです。そして、その先には入らないように封鎖されている旧道と思われる道もありました。地形図の破線とはちょっとずれてルートが設定されているようです。

 

いい雰囲気の旧摩耶道



旧摩耶道から見上げる山並

 また青谷道への分岐があります。ここは上田道のようです。真っ直ぐ雷声寺方面へ進みます。次の分岐はまず学校林道との分岐があり、すぐに東山尾根との分岐があります。案内板には東山のピークが描かれています。東山のピークがあるなら、ピークを踏みたいところです。ということで、一旦東山尾根方面へ進みます。石垣もあります。その先で東山尾根と神仙寺通との分岐があります。この正面にピークがあります。これが東山でしょうか。神仙寺通方面から回り込むと、コンクリートが見えました。その先へ上がるといくつもの区画がありました。コンクリートでできたそれらは戦時中のものでしょうか。分岐の道標に書いてあった「砲台跡」なのでしょうか。

 

東山の砲台跡?

 戻って旧摩耶道を下ります。自転車で下ってきた単独の若い男性がいました。他に登山者一人が私を抜いていきました。この道で会ったのはそれぐらいで、静かなものです。



崖の復旧作業現場が正面に見える

 雷声寺に下り立ち、住宅街に出て、学校の脇を通って新神戸駅へ戻ります。コインロッカーから荷物を取り出し、自販機でのぞみ34号の指定席を購入します(乗車券\3,890+特急券\4,060=\7,950)。窓側の席は空いておらず、通路側になりました(7号車4番D席)。



雷声寺の石段を下る



住宅地に降り立つ



新幹線新神戸駅の上に架かる橋を渡る



新幹線新神戸駅前

 のぞみに乗車すると、隣には既に客がいました。ただ、新大阪で降り、その後、名古屋までは隣に人は乗ってきませんでした。

 名古屋駅の地下で夕食とします。「まぐろ小屋 エスカ店」で鮪唐揚定食(\870)を食べます。17時前でしたが、結構、客が入っていました。

 その後、17:18発の名鉄快速特急に乗り、豊川の自宅に帰りました。

 携帯電話の歩数計によると、1日で歩いた歩数は30,737歩。距離は18.4km、時間は5:04:02、消費カロリーは934kcal、脂肪燃焼133gでした。3万歩を超えたのは、歩数を確認しだしてから初めてだと思います。これは登山だけでなく、移動が車でなかったのが大きいのだろうとは思います。

 見かけた植物
 サンゴジュ、カゴノキ、オニグルミ(冬芽)、イヌガシ、モッコク、ヤブニッケイ、ビワ、ヤブツバキ(蕾)、ネズミモチ(果実)、ソヨゴ、アラカシ、アオキ、フイリアオキ、シキミ、ヒサカキ、イヌツゲ、イヌガヤ、カヤ、アカマツ、ヒノキ、スギ、チャ、ヤツデ、ヤブコウジ、フッキソウ(植栽)、アベマキ、コウヤボウキ、マンサク(植栽)、ベニマンサク(植栽)、フキ(植栽)、ムベ、テイカカズラ、ヒトツバ、ミツデウラボシ、オオバノイノモトソウ、ノキシノブ、ヤブソテツ?、マメヅタ、ベニシダ


【摩耶山が紹介されている主な書籍など】

『アルペンガイド23京阪神ワンデイ・ハイク』(山と溪谷社)1996年4月改訂第4刷
  「市ガ原から摩耶山」のページで天狗道・トエンティクロスなどが紹介されています。

『日本の山1000』(山と溪谷社)1992年12月1日2刷
  「布引ノ滝を経て天狗道を登るのが一般的」とあります。カラー写真は「天狗道からの摩耶山」。

『コンサイス日本山名辞典修訂版』(三省堂)1989年9月1日第6刷
  花崗岩からなることや、山頂に奥摩耶遊園地があることが書かれています。

『新日本山岳誌』(ナカニシヤ出版)2005年11月15日第1版第1刷発行
  いくつかの登路が紹介されています。標高は699mとなっています。

Wander!地域別季節順

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