ヌルデ(フシノキ、カチノキ、カチキ) 白膠木(五倍子木、勝の木、勝軍木)
Rhus javanica L. var. chinensis (Mill.) T.Yamaz.
ウルシ科 ウルシ属 ヌルデ節
 

葉 東三河 宮路山 2006.7.1




紅葉 東三河 宮路山 2006.11.26

 奇数羽状複葉の葉軸に翼があるのが最大の特徴です。小葉の縁には鋸歯があります。ヤマウルシやハゼノキと同じウルシ属で、かぶれることもあるようですが、ヤマウルシやハゼノキほど強くはないようです。

 7月の写真は、宮路山中腹を通る町道沿いで見かけたものです。11月の写真は林道脇で見かけたものです。東三河ふるさと公園の遊歩道沿いでも見かけたことがあります。代表的な先駆性樹木(パイオニアツリー)としても有名なようで、上記のような場所でよく見かけるわけです。葉が虫でいぼいぼ状になっていたのも見かけました。

 和名は、幹を傷つけると白い乳液が出て、これを物に塗ることから、とか、前記の白い液をヌルと言い、それが出るからとか。別名のフシノキは、ヌルデシロアブラムシなどが葉に虫こぶをつくり、これを五倍子(附子)ということからで、タンニンが多く含まれ、お歯黒や白髪染めの原料、インクの原料、薬用として利用されていたそうです。

 歴史上では、崇仏派である蘇我氏の聖徳太子(厩戸皇子)がこの材で四天王の像を刻んで旗頭に立て、排仏派の物部守屋(もののべのもりや)を討ち、それで勝軍木と名づけられたと言い、縁起の良い木として、祝儀用の材として用いられたり、年始の祝木として神棚に供えられたりしているそうです。また、この戦勝により、四天王寺と太子堂(真言宗大聖勝軍寺)が建立されました。真言宗で行われる延命祈願の護摩木としてもヌルデが使われているそうです。

 上記の話は、『鬼人 役行者小角』(角川文庫)では、役行者の前生で守屋を退治するときに、ヌルデで毘沙門天王を作り、兜の中に納めて勝利を得、志貴山に安置した、となっています。

 分布は、北海道、本州、四国、九州、朝鮮半島、中国(中部・西部)、インドシナ北部、ヒマラヤとなっています。

 参考:『葉で見わける樹木』(小学館)、『日本の野生植物 木本』(平凡社)

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