寒狭山 豊川本流寒狭川右岸の山は林道から一息

 林道ゲート前から10分ほどの林道歩きと30分程度の山道で寒狭山頂上へ行けました。誰もいない静かな山頂からは木の間越しに南アルプスの雪山も顔を覗かせていました。



樹間から姿を見せる雪山

【山 名】寒狭山(さぶさやま、かんさやま) 945.2m
【三角点】二等 点名:段戸山2 標高:945.24m
【山 域】奥三河
【水 系】豊川(とよがわ)本流寒狭川(かんさがわ)水系
【所在地】愛知県北設楽郡設楽町(したらちょう)田峯(だみね)段戸(だんど)
【山行日】2012年3月19日(月曜日・仏滅)
【行  程】宇連林道ゲート前から往復
  豊川 ==(R1・県5・県21・R151,18.9km)== サークルK ==(R151・県21・R257・県436・県32・県389・R257・県33,42.2km)== 
  9:23                                9:56-10:05
  == 宇連林道ゲート前 --(宇連林道)-- 登山口 ---- 910mピーク ---- 寒狭山 ---- 910mピーク --
       11:15-11:18                     11:31         11:53      12:05-12:12    12:22-12:28
  -- 登山口 ---- 宇連林道ゲート前 ==(県33)== 松戸クリーンセンター付近 ==
     12:47         13:07-13:10
  ==(県33・R257・県389・県32・県436・R257・県21・R151)== バロー ==(18.2km)== 豊川(合計走行距離:123.9km)
                                               14:27-15:02           15:33
【山行時間】1時間49分
【標高差】約155m
【人  数】1人(単独)
【天  候】快晴 風あり
  気温:9℃(自宅出発時)、11℃(サークルK)、4℃(登山開始時および寒狭山頂上)、
     12℃(バロー)、11℃(帰宅時)
     3月19日12時稲武の気象庁データ:気温6.9℃、風速4.6m/s、風向:北東
【地形図】1:25,000 田口(たぐち) 昭和56年修正測量
【スタイル】ミズノ ウォーキングシューズ "FREEWALK"、ショートソックス、PHENIX化繊ズボン(中国製)、
 ユニクロ綿100%トランクス(中国製)、眼鏡、ユニクロ中国製半袖Tシャツ(綿72%・ナイロン28%)、
 アクリル70% 毛25% カシミヤ5%長袖チェックシャツ(日本製)、腕時計(CASIO TWIN SENSOR)、
 マスク(杉花粉対策用)、デジタルカメラ:SONY α350、MINOLTA DiMAGE7(いずれも首に提げて歩く)
【所持飲料】サントリー伊右衛門焙じ茶500ml、アクエリアス カロリーオフ500ml(いずれも飲まず)
 日曜と春分の日の火曜の間の月曜を有給休暇とし、出かけました。この山に登ろうと思ったのは、設楽ダム水没予定地の近くにあり、目についたからです。3月4日に、初めて、設楽ダム建設予定地へ行きました。設楽ダムのことがたびたび話題になっていますが、それがどこにできるのかをよくわかっていませんでした。そこで、一度、現地を訪れてみたいと思ったのでした。

 その場所は、清崎から田口鉄道廃線跡の狭い道路を北上し、県道に出る手前の最後のトンネルの場所とのこと。その付近には淵がいくつもあるようで、釣り人の車も何台もとまっていました。今はアユではなくアマゴのシーズンのようです。ただ、その脇の森は植林ばかりで、あまり自然の豊かさは感じられませんでした。トンネルのすぐ近くには駐車できそうな場所がなかったのですが、少し先に広い場所があり、ここに駐車し、川に下りてみました。少しだけ上流へ歩きました。淵があり、水は綺麗です。川べりには今の季節、花は咲いていませんが、シダだけでも5種は見かけました。

 この前日の3月3日は、豊橋市神野新田町のホテルシーパレスリゾート バンケットホールで開催された「公害・地球環境問題懇談会」主催の『シンポジウム/大型公共事業と生物多様性について〜持続可能な流域社会をめざして〜』に参加しました。4日に設楽ダム水没予定地を訪れてみようと思った後に、メールで開催を知り、たまたまその前日の開催だったのです。

 基調講演1は、東京の主催者からの「大型公共事業で日本の自然が・・・」です。鞆の浦、沖縄泡瀬干潟、八ッ場ダム、川辺川ダム、有明海など日本の代表的な環境問題についての話でした。その中で、最も刺激的だったのは、高尾山に圏央道のトンネルを掘るという話でした。水量豊富な滝がトンネル掘削後に枯れたという前後の写真がありました。トンネルは環境への影響は少ないという印象がありましたが、この変化は衝撃的でした。今までもトンネル掘削により、水脈が変わってしまうという話は知っていましたが(確か東海北陸自動車道の工事でもあったと思います)、写真で突きつけられると、トンネルの環境への影響を私は過小評価していたのではないかと思いました。

 基調講演2は、名城大学教授からの「日本一のアサリ生産を支える三河湾の環境と今後の海域管理の課題」です。恥ずかしながら三河湾のアサリ生産量が日本一だということすら知りませんでした。また、赤潮の原因が河川からの汚染水(窒素やリン)の流入ではなく、埋立地の増加であるということも認識しました。確かに河川の水質は以前と比べて格段に綺麗になっているのに、赤潮がいまだに発生しているのは不思議だと思っていました。埋立地の増加による生態系の破壊が赤潮の原因だとすれば納得できます。埋立により三河湾の2%の干潟が消失したそうです。アマモ場は1/40〜1/50程度に減少しているとのこと。アサリやマイワシなどの動物が植物プランクトンを食べれば赤潮は発生しないのです。ほんの2%、されど2%の干潟が重要だったのです。

 2つの基調講演の後、3つの報告がありました。1つ目は、「六条潟と三河湾を守る会」による「豊川河口の六条潟保全をめぐって」です。六条潟がどこにあるかもよく知りませんでした。汐川干潟は、例えば朝日新聞の『日本の自然100選』で、「本州最大規模の干潟」として紹介されていたりして有名ですが、六条潟もアサリ漁場として無くてはならない存在だということがわかりました。

 次は、「設楽ダムの建設中止を求める会」による「設楽ダム建設事業の問題点」です。基本的なところから説明いただき、素人の私でも理解できました。また、二重山稜の存在など、考えさせられる内容もありました。二重山稜の存在する松戸集落には翌日に出かけました。

 最後は、「設楽ダム住民訴訟弁護団」による「設楽ダム環境アセスメントの問題点」です。設楽ダムの環境アセスが、ダム建設事業に対する日本初のアセスだったことを知りました。また、多くの問題点があることも知りました。アセスには三河湾が対象に入っていないことが一番大きな問題でしょうか。アサリ全滅の可能性もあると思いました。

 その後の討論もとても勉強になりました。アユの生態についても解説してくれたりしました。宇連川にアユが定着しない理由は宇連ダムによる水温の低い水(ダムの底の水)の放流があるとか。設楽ダムができたら、寒狭川のアユも全滅する可能性が高いということになります。もっとも寒狭川のアユは花の木公園にある魚道のない人工の滝により、天然アユは1匹もおらず、琵琶湖などから持ってきて放流していることも知りました。

 ネコギギの移植が成功する確率は限りなく0に近いことや、ナガレホトケドジョウの話も聞けました。どんなシンポジウムかよく知らずに参加しましたが、内容としては、自然保護に携わる人たちによるシンポジウムで、自然保護団体の話を聞くのは初めてだったため、とても新鮮に感じました。しかし、同時に、活動が実績に結びついていないもどかしさも大いに感じました。行政などの横暴に対して、どういうアクションをとったらいいのか、考えさせられました。

 前置きがかなり長くなってしまいました。設楽ダムの話は以前からあるのに、なぜこのタイミングで現地を訪ねることを思いつき、実行したかということもありますが、それは、また話が長くなるので、ここでは触れないでおきます。

 さて、前日の18日は、天気予報に反して小雨の降る中、午前中に東三河ふるさと公園での自然観察会に参加し、午後は、4月1日の自然観察会の下見をしたため、翌日はあまり出歩きたいという気持ちはなかったのですが、朝起きると晴れていたので、出かけないわけにもいかないという、義務感みたいな気持ちで、8時前にのんびり起床し、準備し、出発しました。

 ガソリンも少なくなっていたので、コスモ石油でガソリン補給をし、サークルK新城とよさか店で食料も買いました。ただ、山の中では、昼を食べませんでしたので、買った、ホットの「JT Roots AROMA BLACK」(\137、275g)を車中で飲んだだけです。

 新城バイパス(国道151号線)から県道21号線に入ると、新東名建設の工事車両が多くなります。半数以上が関連車両なのではないかと思うほどです。ダンプカーやミキサー車だけでなく、エネオスのタンクローリーも入っていきます。それらの車両が工事現場へ入るのに右折したりするために、後ろに列ができるほどです。新東名の工事も佳境なのでしょうか、工事関係者は不況知らずに思えてしまいます。東日本大震災後、工事の進捗には影響があるのではないかと思ったりもしましたが、そんな雰囲気は微塵も感じませんでした。不況知らずどころか、バブリーな業界なのか、と思うほどです。もっとも、中小の建設会社はそうでもなく、ゼネコンだけなのかもしれませんが。

 国道257号線から県道33号線(足助街道)に入ると道路が狭くなります。なので、あまり通りたくない道路なのですが、仕方ありません。バックしなければならない状況にならないことを祈るのみです。県道に入るとさっそくダンプが来ました。先にある採石場からでしょうか。でも、脇によけただけですれ違いできる場所でした。

 大名倉の集落を過ぎ、左折し橋を渡ると左に養魚場がありますが、そちらではなくその一つ右のダートが目的の方向に見えます。そこへ行くと、左右に東海自然歩道が横切っていました。そして、寒狭山登山口方面への道標もありました。

 いきなりのダートで、しかもそれほどいいコンディションではありません。途中で駐車して歩こうかと何度も思いましたが、もう少しだけ、という気持ちが優先して、結局、ゲート前まで行きました。ここは完全に鎖で封鎖されています。その脇に駐車します。



林道ゲート前

 気温は低めですが、雨上がりで杉花粉も多くなるでしょうからマスクをします。風もあります。そしてフリースを脱いで歩き始めると、車が1台下りてきました。軽くおじぎをして挨拶だけしました。最初こそ手が冷たいと思いましたが、そのうち平気になってきました。



日本生命豊橋支社の「ニッセイ設楽の森」の看板

 沢の脇に登山口があり、ここから山道になり、すぐに尾根の方へ行きます。踏み跡はそれほど立派ではありませんが、不明瞭というほどでもありません。気をつけて歩けば迷うことは無さそうです。



登山口の道標

 ヒノキの植林が多く、その下にはあまり大きく育っていないアセビも多く生えています。右に曲がっていきます。そのまま登り詰めると小ピークに出ました。境界見出標がありますが、標石は見当たりません。展望は利きません。ここは左に折れるようです。「←寒狭山山頂まで約15分位」の看板もありました。



尾根に出たところにある右方向へ誘導する道標

 一旦下り、登り返します。このルートには境界見出標が並んでいます。そして、標石も少しだけありました。このあたりはヒノキだけでなくスギも多くありました。



名古屋営林局の境界見出標



苔むした境界標石



境界見出標「二三九補二」



道標「寒狭山←」

 そして、山頂に到着しました。やはり展望は利きません。先にも踏み跡がありますが、境界見出標が続いているだけで、周回できるような雰囲気はあまり感じませんでしたので、すぐに引き返します。



「寒狭山頂 945.2m」



二等三角点「段戸山2」



山頂に取り付けられていた山名標



境界標石

 山頂で、『こんなに楽しい愛知の130山』(風媒社)を取り出して、先ほどの小ピークのあたりを確認します。少し先に共同アンテナがあるようですが、それらしい雰囲気は感じませんでした。もう取り払われたのかもしれません。それほどのアルバイトもしておらず、まだ腹はすいていないので、マスクも外さず、水分補給もしないで下山にかかります。

 すると、左手に雪山が見えるのに気づきました。樹間からなので見づらいですが、コンパスで確認すると北東方面です。南アルプスのようです。3日前に、行人山から見たときよりも白く見えます。雪が降ったのでしょうか。それとも、今日の方が天気がよく、くっきり見えるだけでしょうか。

 先ほどの小ピークで少し周りを歩いてみます。左方向へはあまり踏み跡はありませんでしたが、正面方向には踏み跡がありました。そして林業作業用のはしごもあり、境界見出標もあります。それは少し先で右下へ続いていました。私はそこで引き返します。なぜか、MINOLTA DiMAGE7 の液晶画面が写らなくなり、シャッターも下りなくなってしまいました。もう長く使っていて、いつお釈迦になってもおかしくないとは思っていたので、ついに来たか、という感じです。何度か、試してみましたが、やはりダメみたいです。



林業作業用のはしごが立てかけてありました MINOLTA DiMAGE7 最後の1枚

 来た道を戻りますが、途中で右にかすかな踏み跡があったので、そちらに行ってみます。人が通った跡か、獣道か微妙な感じの踏み跡です。沢に出ましたが、源頭に近いようで、水は流れていませんでした。引き返します。

 林道に出る前に、樹間から三ッ瀬明神山が見えました。林道に出て、少し右奥へ行ってみます。はっきりと見える場所はありませんでしたが、ある程度は見えました。平山明神山らしきピークも見えました。



林道から見る三ッ瀬明神山



林道から平山明神山らしきピークを見る

 車に戻るとフロントガラスなどには花粉がいっぱい付いていました。この花粉を見て、マスクをつけていたのは正解だったと思ったのでした。県道33号線から松戸方面へ行く橋を渡り、右側の東海自然歩道方面へ行ってみます。相変わらず狭い道路であまり奥までは進みたくありません。松戸クリーンセンターまで行くと、川側に名札のついた樹木を見ました。ここが立ち木トラストの場所なのでしょうか。ここでUターンして引き返します。

 県道21号線に入るとまたダンプカーを見るようになります。釧路ナンバーのダンプもいます。日本中から景気のいい新東名の工事現場に集まるのでしょうか。ダンプのフロントには、「雁峰」とか「鳳来TN」なんて表示もあります。工事現場のトンネルなどの名前でしょうか。

 新城でバローに寄り、3,387円分の買い物をしてから帰宅しました。結局、昼食抜きで、17時頃にようやくおにぎり1個「鶏ちゃん焼風」(\128、194kcal)のみを腹に入れたのでした。あと2つのおにぎり(「うめ」(\110、162kcal)、「シーチキンマヨ」(\105、199kcal))は翌日の朝食となりました。

 18時頃、入浴剤「旅の宿 十和田」を入れて風呂に入りました。夕食は、バローで買った、山形県庄内産「茎まで美味しいオッキーなめこ」、国内産若鶏ささみミンチ(解凍)(\103、81g)、愛知県産白菜1/4カット(処分品で\128から\88へ)、神奈川県産ダイコンカット(\128)などで、鍋にして食べました。

 携帯電話の歩数計によると、1日で歩いた歩数は6,762歩。距離は4.05km、時間は1:18:35、消費カロリーは197kcal、脂肪燃焼28gでした。

 見かけた植物
 キッコウハグマ、ツルリンドウ、ススキ、シロモジ(冬芽)、コナラ、アセビ、イヌツゲ、モミ、ツガ、ヒノキ、スギ、ゴヨウマツ、アカマツ、ヒカゲノカズラ、シシガシラ


【寒狭山が紹介されている主な書籍など】

『こんなに楽しい愛知の130山』(風媒社)1999年10月8日第1刷
  車止めゲートからのルートが紹介されています。

『こんなに楽しい愛知の100山』(風媒社)1991年5月1日改訂第1刷
  車止めゲートからのルートが紹介されていますが、「道なき道を登る」とあります。

『名古屋周辺 続 山旅徹底ガイド 裏木曽/東濃/奥三河』(中日新聞本社)1996年3月6日発行
  宇連林道からの周回コースが紹介されています。

『ワンデルングガイド10愛知県の山』(岳洋社)平成4年6月13日2版発行
  南西側からのルートが紹介されています。

『'96アウトドアData3800東海版』(風媒社)1995年11月20日初版第一刷発行
  「寒狭山」の項で、「クマザサをかき分け歩く」と紹介されています。

『コンサイス日本山名辞典修訂版』(三省堂)1989年9月1日第6刷
  「さぶさ(かんさ)やま」と紹介されています。

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