センダン(アミノキ、オウチ、あふち) 栴檀(楝) 英名:chinaberry、white cedar、Texas umbrella Melia azedarach Linn. var. subtripinnata Miq. ムクロジ目 センダン科 センダン属
果実 渥美 木落山 2005.1.9
果実 弓張山脈 大蔵山 2008.12.14
葉 東三河 観音山 2006.6.17センダンを知ったのは、木落山に同行した鷲見さんの住んでいる家の敷地で、「勝手に生えてきたこの木の名前は何か」と聞かれたことがきっかけです。その木を見たのは夜でよくわからず、枝先をちぎって持ち帰り、『葉で見わける樹木』(小学館)で調べたらすぐにわかりました。実が特徴的であることもその後実物を見て知りました。
そして、木落山に登ったときに、このセンダンの実がたくさん成っているのに気づきました。果実は落葉する前からありますが、冬に落葉すると実だけが残ってよく目立ちます。果実はヒヨドリなどが食べるようです。四国、九州、沖縄、中国に自生している落葉高木です。本州の伊豆以西の温暖な海岸に近い地域に生育しているものは、持ち込まれて野生化したものだと言われています。木落山の麓付近にはたくさん生えていましたが、自生しているようにしか見えませんでした。本当に本州のものは自生ではないのでしょうか。鳥が種子を運ぶとしたら、本州にあってもおかしくないような気もしますが。疑ってしまいますが、きっと私の知らない何らかの根拠があるのでしょう。
香川県琴平町、徳島県阿波町などにある巨木は、国指定天然記念物に指定されているそうです。
葉は互生で、2回羽状複葉ですが、まれに3回羽状複葉にもなるようです。小葉の縁はあらく先のやや鈍い鋸歯があります。
和名の由来は、数珠のようにたくさんの果実があることから、「千珠」(せんだま)からという説と、同様にたくさんの果実を団子に見たて、「千団子」(せんだんご)からだという説があるそうです。
なお、「栴檀は双葉より芳し」の栴檀は、白檀(ビャクダン科)という香木の中国名であり、センダン科の本種とは別種です。本種にも芳香はありますが、ビャクダンほどではありません。日本に自生するセンダン科は、本種のみです。海外では、チャンチンやマホガニーがセンダン科に属します。
果実には薬用成分があり、「苦楝子(くれんし)」という漢方薬になっているそうですが、ヒトや動物で中毒事故も発生しているようです。樹皮も「苦楝皮(くれんぴ)」という漢方薬になっているそうです。
また、『万葉の花100選』(淡交社)によると、万葉集には、「楝(あふち)」の名でセンダンが登場する歌が四首あるそうです。ここでは、二首を紹介しておきましょう。
妹が見し 楝(あふち)の花は 散りぬべし わが泣く涙 いまだ干(ひ)なくに (山上憶良)
霍公鳥(ほととぎす) 楝(あふち)の枝に 行きて居(ゐ)ば 花は散らむな 珠と見るまで (大伴家持)
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