黒岳・越前岳・鋸岳 北面沢下降中に怪我

 愛鷹登山口から周回しましたが、鋸岳の難所を越えた後の沢ルート下降中に捻挫してしまいました。
【山 名】黒岳(くろだけ) 1086.51m 三等三角点 点名:須山村
      所在地:静岡県裾野市大字須山字大入沢2311番ー1ー2
     越前岳(えちぜんだけ) 1504.23m 二等三角点 点名:印野村(いんのむら)
      所在地:静岡県富士市大字桑崎字越前岳775番地の2 埋標:昭和49年7月13日
     呼子岳(よびこだけ) 1313m
     蓬莱山 1296m
【山 域】愛鷹連峰(愛鷹連山(あしたかれんざん)) 富士箱根伊豆国立公園
【所在地】静岡県裾野市・富士市
【山行日】2006年8月27日(日曜日)
【行 程】愛鷹登山口から周回
26日(土)
  自宅 ==== 豊川IC ==(東名高速道路)== 裾野IC ==== 山神社駐車場(テント泊)
27日(日)
  山神社駐車場 ---- 愛鷹山荘前 ---- 富士見峠 ---- 黒岳 ---- 富士見峠 ---- 富士見台 ---- 越前岳 --
          5:38       6:11-           6:27       6:44-6:56   7:09-7:14      8:20-       8:41-8:54
  -- 呼子岳 ---- 割石峠 ---- 北沢下降点 ---- 山神社駐車場 ==== 富士IC ==(東名高速道路)== 豊川IC ==
     9:35-        9:57        12:06           14:10頃
  == 病院 ==== 夕食 ==== 自宅
                        20:00頃
【標高差】約760m
【天 候】曇または雨または霧 20℃(登山開始前)、20℃(呼子岳)
 8月27日御殿場の気象庁データ:平均気温20.7℃、最高気温23.6℃、最低気温19.2℃、平均風速2.0m/s、
    最大風速3m/s、最大風速時の風向:北北東、降水量1mm:、日照時間0.0h
【人 数】6人(男4、女2)(32〜59歳)
【地形図】1:25,000 愛鷹山 平成11年部分修正測量
【スタイル】皮登山靴zamberlanフジヤマ、薄手ショートソックス+厚手ショートソックス、タオル、眼鏡、
 mont bellズボン(中国製 ナイロン100%)、ムッシュ短パン下着(日本製 アクリル100%)、
 DUNLOP半袖Tシャツ(ポリエステル(ダクロンQD)70%・綿30%)、カッパ上下、MILLETザック、
 腕時計(CASIO TWIN SENSOR)、ヘルメット(呼子岳〜大沢横断地点)、ウェストバッグ、
 シュリンゲ3・カラビナ3・ATC(呼子岳〜転倒するまで)
【所持飲料】明治乳業 ヴァームウォーター500ml(完飲)、カゴメ 六条麦茶500ml(完飲)、
 ポッカキレートレモンメンテナンスウォーター500ml(完飲)、キリン 笹とお茶500ml(約250ml飲む)、
 森永製菓 ウイダーinゼリー エネルギーイン180g(飲まず)
 会の月例山行の下見という名目ながら、ちょっと欲張って、バリエーション部分も絡めて行くことになりました。なんといってもメンバーは全員クライミング経験者なのです。その中で一番遠ざかっているのがたぶん私です。

 集合は前日の夕方5時に豊川ICからそれほど遠くない場所。サークルKで翌日の朝昼食のためのおにぎりやパンを買ってから集合場所へ向かう。この日は豊川手筒花火で、賑わい始めていて、ちょっとのろのろ運転になる。それでも集合時刻の少し前に着くことができた。車はF氏とM氏がだしてくれる。

 豊川ICから裾野ICまで東名高速を走る。途中、富士川SAで道の駅富士川楽座に行き、夕食。まるせん食堂にはレジは1つだが何店かのテナントが入っているようで、その中の「寿司処 富岳」の駿河丼大盛\980を食べる。大盛でも値段が上がらないのが嬉しい。愛鷹登山口の林道に入りしばらく行くと正面が通行止めになっていて、左脇に広い砂利っぽい駐車場と一角に簡易トイレがあった。この先の林道で土砂崩れでもあったのだろうか、黒岳への登山口はかなり先だろうか、と思った。しかし、ヘッドランプを付けて少し先に入るとそこには鳥居があり、案内板もあった。つまりここが黒岳への登山口だったのだ。

 車は1台もとまっていない。テントを張り、しばしの宴会。裾野ICを出て寄ったコンビニで買ったビールがせいぜい1〜2本程度だけど話題は尽きない。ムードメーカーはYさん。暑いので、テントの入口はあけておく。でも虫がいないのが不思議だ。足の長い蜘蛛が入ってきたぐらいだった。気づけば夜10時半頃だったか。それからシュラフなど、寝る準備をして就寝。

 6人用ダンロップに6人。上下交互に寝る。最初はシュラフに入っていたが、さすがに暑く、汗も出るほど。雨も何度も降ってきてさらに蒸し暑い。そのうちシュラフから全身出て寝る。隣の人の顔の近くに足がいくことになるが気にしていたら眠れないので仕方ない。眠れたのは朝方2〜3時間だったような気がする。

 朝5時前に起床し、各自朝食を済ませて出発。「アサヒ 酸素水」も飲んでみる。まだ薄暗い中の樹林帯を登っていく。明るくなるとマツカゼソウが目についた。バラ平という愛鷹山荘前の水場で休憩し、雨のため、カッパ上下を着る。テン場もあるようだが、愛鷹山荘へは入れない。水場は「銀明水」といい、冠松次郎が天与の銘水と称した湧き水なのだそうです。

 尾根に出て、まずは黒岳に向かうために右折する。大きな音がするのは何だろう、花火だろうか、とも思ったが、ここは演習場の近く。そのうち連射音も聞こえて、演習に間違いないと確信できた。帰宅後、ニュースで、この日は年1回の公開の陸上自衛隊総合火力演習とやらが東富士演習場で行われ、1日で3億2千万円を使ったと言っていた。

 途中の展望台や黒岳からは残念ながら展望はない。引き返し、登ってきた登山道との分岐(富士見峠というらしい)でカッパの上を脱ぐ。小雨になっていた。下はスパッツ代わりにもなるのではいたまま。ここから越前岳まではちょっと長い。途中には富士見台があり、有名な写真家の説明文もある。富士の展望台なのだろうが、今日は全く展望は無い。月例山行本番に期待したい。ツツジの仲間の木が複数種目につくが、葉だけでは何ツツジかは私には判断できない。ナナカマドの仲間も葉のみ。脇に測量に使用したものだろうか、アルミ製のような台があった。後日、越前岳三角点の点の記を見てみると、富士見台は偏心点となっていた。偏心点とは三角点測量の補助的なものらしいが、この台が何か関係あるのかはわからず。



富士見台にあったアルミ製(最上部は木製)らしき台

 越前岳に着くと、1人の登山者がいた。越前岳は約4年半ぶり。前回は、富士山の展望あり、雪あり、人も多かったが、今回は季節も違うが展望もなく、閑散としている。登ってきた方向が違うことが大きいが、同じピークだとは全く気づかないほど。それでも休憩している間に他のグループも登ってきた。考えてみればまだ朝9時前だった。

 さて、ここから呼子岳方面へ愛鷹連峰主稜線の縦走に入る。今までの登山道とは違って道幅が急に狭くなった。そして急降下。宮標石をいくつも見かける。途中、登山道の真ん中にねずみが横たわっていた。よく見ると、まだ息をしている。何があったのだろうか。ぱっと見、外傷は見当たらない。私にできることは道端に寄せてやることだけ。



主稜線上の宮標石

 西への分岐を過ぎ、登山道からわずかに外れた呼子岳に着く。そのピークの先は「廃道」の表示があった。大岳への尾根のことだろうか。さて、ここでKリーダーの指示に従い、ヘルメットをかぶり、シュリンゲで簡易ハーネスをつくる。

 割石峠まではまだ普通に歩ける。そして割石峠。南側は切り立った崖に挟まれた狭い谷が落ちている。今までと雰囲気は一変する。そして近くに1人の男性がカメラを構えていた。そして我々の後ろから鋸岳方面へついてきた。

 

割石峠から南側のV字に切れ込んだ谷は、石を割ったような感じと言われれば納得

 最初は急な坂の登りである。その先には蓬莱山という地図には名前の載っていないピークがあり、そこには警告表示があった。



蓬莱山の警告表示

 その後、岩場が出てくるようになる。一応、鎖やロープがついている。それでも雨に濡れた岩は滑りそうで緊張する。ところどころでロープを出して、カラビナを通して通過した。単独の男性は、地元の方で、このルートには何回か来ているようで、北沢の下山ルートが良いと教えてくれた。以前は北面沢と言っていたが、今は北沢と呼ぶようになったそうである。黒岳の登山口で見た案内板に書かれていたルートである。デジカメにも撮ったので、再生して確認した。でも私のデジタルカメラでは小さ過ぎてよくわからず、Kさんのデジタルカメラで確認した。後ろから来た単独の男性は、ロープを出して慎重に歩く我々の前に出て、先に行った。



最初の難所



最初の難所の後半はロープをフィックスしてトラヴァース

 人があまり通らないためか、花も多い。でもなかなかゆっくり写真を撮ってはいられない。一番の難所は稜線の南側をトラバースして狭いコルへ登る箇所およびその前後。浮石が多いのは南アルプス鋸岳の大ギャップを思い出す。コルへの登りではヘルメットに落石を受ける。このあたりのいくつかあるピークを指して鋸岳と言うのだろう。それらのピークは巻いていく。でもそのときはそれに気づいていない。鋸岳のピークにはちゃんと表示があって、そこを必ず通るだろうとみんな思い込んでいた。それは、その手前にあった蓬莱山にもちゃんと表示があったこと。そして、こんな難ルートにも関わらず、ルートの表示がちゃんといくつもあったから。



落石を受けたコルへの登り



狭い谷間を抜けてコルへ



コルにあった道標

 でもなかなか鋸岳に着かない。途中で休憩してまたカッパの上をはおる。そしてカッパの上から簡易ハーネスをつけなおす。その先で鋸岳への表示を見るが、矢印は後方になっている。一瞬、何かの間違いかもしれないとも思ったが、そのときに鋸岳は先ほどの難所のあたりだったのだろうとほぼ確信できた。このまま行けば位牌岳だろう。そしてその前の鞍部に北面沢への下り口があるはず。見逃さないように注意して歩く。

 すると、テープが複数巻かれた鞍部があった。北面沢ルートはここから下るのだろう。沢へは踏み跡が交錯している。それらはほとんど獣道だろう。でももう少し下まで行けば、人間が通った証拠があるだろう。位牌岳まで行こうかという話も出たが、位牌岳までにはまだ難所があるはずなので、今日はここから下りることにする。当初は、北面沢ルートなんて、ガイドブックには載っていないので、位牌岳付近の行けるところまで行って、割石峠まで引き返してそこから下ろうという計画だった。でも、登山口で見た案内板と、地元の方のアドバイスにより、北面沢ルートを下ることにしたのだ。当初引き返そうと考えていた時刻も少し過ぎた。

 北面沢は滝もなく、水も流れておらず、ほとんどその沢の中を歩くことができる。ルートになるのも納得できる歩きやすい沢だと言える。ただ、今日は雨にも濡れ、苔も生えていて、滑りやすい箇所がところどころにある。沢に段差があるところにはちゃんと巻き道がある。踏み跡探しで先頭が前後したりして私が先頭になったりする。そしてルートの表示もあったり、白ペンキで●印や矢印が書かれていたりもする。ガイドブックには載っていないが、地元の人は知っている便利な歩きやすいルートなのだろう。稜線の難所と比べたら、とても歩きやすい。計画通り引き返したらかなり時間を要しただろう。



北面沢(北沢)にあった道標

 一旦休憩し、さらに下る。水も流れるようになり、沢の脇に踏み跡がはっきりついていたりする箇所も増えてくる。それでも沢に戻ったりもする。そんなとき、私が先頭で、苔が生えていたのだろうか、足を滑らせて転倒してしまった。さらに、すぐには止まらず、もう一段下まで1回転したときに左手をつこうとして、左ひじが外側に曲がってしまった。その外曲した腕が回転しながら一瞬、目に入った。痛みで少しうずくまったまま動けない。でも激痛ではなく、骨はたぶん折れていないことはわかった。少しして起き上がり、腕を動かしてみるが、やはり激痛はないようで、すじを痛めただけのよう。右ひざも打ったが、打撲だけのようで歩くのに支障がないのは不幸中の幸いだった。それでも左腕はあまり自由に動かせないので、ザックをKさんに背負ってもらい、Kさんのストックを借りて下ることにする。左ひじには内側と外側に湿布を貼り、三角巾で吊る。登山口までもう少しというところでこんな怪我をしてしまった。これはまさしく一番怪我が発生しやすい状況。そんなに不注意に歩いていたつもりはなく、休憩も少し前にとっていて、集中力が続かなかったわけでもない気がする。先頭を歩いていて目線が足元でなく、もう少し先の方に行っていたのはあったと思う。でもやはり、これぐらいなら大丈夫、滑らないだろうという予想が甘かったとしか思えない。間接的な理由としては、睡眠不足や久しぶりのグループ山行かつバリエーションルートだった、などということが挙げられるかもしれない。自分でも一番の原因はこれだ、というはっきりしたものが特定できないのがもどかしい。翌日、会社に行って言われたのは、「歳のせい」。ちょっと違うような気もするし、自覚もないけど、反論できない。

 大沢の開放的な広い河原を横断するところで最後の休憩。そこからほどなく駐車場に戻った。湿布を2枚とも貼りかえる。怪我のため、温泉には寄らないことになり、私はTシャツのみ着替える。帰りは十里木経由で富士ICへ。途中、Kリーダーがコンビニに寄って氷を買ってくれる。これでひじを冷やす。

 豊川の集合場所に帰り、すぐに病院へ行くことにする。ここからは私一人で行くつもりだったが、リーダーが病院まで付き添うという。メンバー全員も同じく。119に電話してすぐにその日の救急病院を教えてくれると思ったら、豊橋の救急医療情報センターというところの電話番号を教えてくれて、そこに電話し、整形外科のその日の救急病院を教えてもらった。119番は緊急用なので、回線を塞がないよう、一般電話へのかけ直しをお願いしているのだと後日、市の広報(広報とよかわ2006年9月1日号)で知った。とは言うものの、いざというときは119番しか思い浮かばないだろう。でも一度知れば対応できる。豊橋の救急医療情報センターの電話番号を携帯に登録しておいた。6人が各自の車で病院へ移動。受付をすると混んではいないようで、比較的早く、診察→レントゲン→診察と終了。やはり骨折はなく、捻挫と診断される。しばらくは冷やすのがいい。事故後の対応は極めて適切だった。リーダーに感謝。おかげでほとんど腫れずに済んだ。ただし、すじは痛めているので、ハンドルもまともに握れないし、重いものも持てない。

 さて、これで一段落。みんなで近くの中華料理屋へ行って夕食を済ませた。

 見かけた動物
 ヒメネズミ?

 見かけた花
 キオンメタカラコウ、キンミズヒキ、マツカゼソウ、ヤマジノホトトギス?、シラヤマギク?、シモツケソウタマアジサイ、カイフウロ?、ヤハズハハコヒメシャジン?


 【愛鷹連峰が紹介されている本】

『分県登山ガイド21静岡県の山』(山と溪谷社)1996年12月1日第2刷
  越前岳と鋸岳が別々に紹介されています。

『静岡の百山』(明文出版社)平成5年11月27日改訂三版
  大沢口から越前岳へのコースが紹介されています。

『やぶれない地図 登山・ハイキング25 冨士・五湖』(日地出版)1987年版
  地図と愛鷹山縦走コースが紹介されています。

『日本の山1000』(山と溪谷社)1992年12月1日2刷
  越前岳が写真とともに紹介されています。

『新日本山岳誌』(ナカニシヤ出版)2005年11月15日第1版第1刷発行
  愛鷹山として越前岳をはじめとする愛鷹連峰が紹介されています。

『コンサイス日本山名辞典修訂版』(三省堂)1989年9月1日第6刷
  愛鷹山(愛鷹連峰)、越前岳、黒岳、呼子岳、鋸岳の項があります。

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