ヒトツバ(イワノカワ、イシノカワ、イシガシワ、イワグミ) 一つ葉
英名:tongue fern, Japanese felt fern 中国名:石葦
Pyrrosia lingua (Thunb.) Farwell
シダ綱 ウラボシ目 ウラボシ科 ヒトツバ属
 

葉 弓張山脈 神石山 2005.10.23




葉 東三河 本宮山 2006.12.29

 常緑のシダです。その名の通り、1枚の葉がいきなり地面から生えているように見えますが、実際には針金状の根茎(こんけい)が横に伸びて岩の上などを這い、そこから葉が立っています。乾燥した岩に着生することが多く、びっしり密生しているところをよく見かけます。本宮山での写真はその根茎が岩からぶら下がってしまっています。

 種小名の、"lingua" は、「舌」を意味します。英名の、"tongue fern" と同じですね。ただ、"lingua" は、英語の、"language"(言語)と同義のようです。

 最初に見たのは岐阜の金華山で、その一風変わった趣に、こんな植物もあるのだ、と思いました。名を知ったのは、松尾芭蕉の「夏来ても たヾ一つ葉の 一葉かな」という昭和30年に建てられたという句碑を金華山で見たからです。この句のように花は咲きません。つまりシダなのです。また、芭蕉と岐阜といえば、長良川の鵜飼を詠んだ「おもしろうてやがて悲しき鵜舟かな」が有名ですね。

 暖地を好み、日本では関東地方から中国地方にかけての本州、四国、九州、琉球に生育し、海外は、朝鮮半島南部、揚子江以南の中国、台湾からインドシナにかけても分布します。『検索入門 しだの図鑑』(保育社)では、「乾いた樹幹や岩上に群生。関東,福井県以西。」とあります。

 私が見たのは、前述の金華山、豊橋の立岩、写真の神石山、東三河の宮路山・本宮山、渥美の衣笠山などですが、金華山や立岩の岩質はチャート。宮路山はチャートなどの変成岩である珪質片麻岩であるといいます。他の場所の岩質は知りませんが、ヒトツバはチャート質を好むようです。

 中国名は、薬物書を著したことで有名な陶弘景(452〜536)が、「石上に蔓延して葉が生え、石の皮のように見える。故に石葦と名付けた。」と述べています。またここから、日本最古の植物の書物である「本草和名」にはヒトツバのことをイワノカワと呼んだようです。『春日村の薬草』(春日村役場)には、これらの説明や薬効についても書かれています。

 ウラボシ科の中で、葉に星条毛があるのはこのヒトツバ属のみです。この毛が多いのは乾性植物の特徴だといいます。葉の裏面を見ると、表面の緑色とは異なり、密な毛に覆われていることにより、初め灰白色で、後に淡褐色に変化するそうです。

 奇形的な品種として、葉の下部辺縁に突起が出るものをハゴロモヒトツバといい、葉先が分かれているものをシシヒトツバというようです。

 参考:『日本の野生植物 シダ』(平凡社)

Wander!花・植物大蔵山

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